このときの看護師の対応で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第111回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
虐待が疑われる事例では、対象となる保護者の心理状態は不安定になりがちであり、周囲の目も気になる状況が多い。そのため、安心して状況を話せるようなプライバシーが保護された環境を提供し、傾聴することで、信頼関係を構築し、正確な情報を引き出すことが最も重要である。個室での聴取は、母親の心理的安全性を確保し、本音で話すことを促すための第一歩となる。
選択肢ごとの解説
- 1. まず事実確認と情報収集が重要であり、この時点で「虐待にあたる」と断定的に伝えることは、母親を追い詰め、信頼関係の構築を妨げる可能性があるため不適切である。まずは状況を傾聴し、背景を理解することが優先される。正しくは:まず母親の話を傾聴し、状況と背景を把握する。選びやすい理由:虐待の疑いがあるため、問題点を指摘したい衝動に駆られるかもしれない。混同注意:虐待であるかどうかの判断は慎重に行う必要があり、初期対応として断定的に伝えるのは避けるべきである。
- 2. 今回の状況はすでに骨折という具体的な傷害が発生しているため、一般的な事故予防の説明よりも、現在の状況とAちゃんの安全確保に焦点を当てるべきである。現在の傷害の原因究明と、再発防止策を具体的に検討することが優先される。正しくは:Aちゃんの骨折の状況を詳しく確認し、原因について母親と具体的に話し合う。選びやすい理由:事故予防教育は重要な看護師の役割であるため、選択肢として魅力的だが、タイミングが適切ではない。混同注意:乳児期の事故予防は重要だが、すでに傷害が発生している状況では、その説明は二次的な対応となる。
- 3. 児童虐待防止法において、虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、通告義務があるため、母親の同意は必須ではない。また、同意を求めることで母親が情報を隠したり、協力を拒否したりする可能性もあるため、初期対応としては適切ではない。正しくは:必要に応じて児童相談所へ通告する可能性があることを念頭に置きつつ、まずは情報収集に努める。選びやすい理由:母親の協力を得るために同意を求めるのが良識的だと感じるかもしれないが、通告は義務であり同意は不要である。混同注意:患者の権利としての同意と、児童保護における通告義務との混同。
- 4. 正解。母親が安心して状況を話せるよう、プライバシーが保護された環境を提供することは、信頼関係を築き、正確な情報を得るために極めて重要である。感情的になりやすい状況であるため、個室での聴取は母親の心理的安全性を高める効果がある。選びやすい理由:他の選択肢も一見すると看護師の役割に思えるため。混同注意:個室での聴取の重要性を見過ごし、他の緊急性の高いように見える対応に目を奪われること。
- 5. 現時点でAちゃんの傷害の原因が不明確な状況で、母親以外の家族(父親)の面会許可を優先的に検討することは適切ではない。まずはAちゃんの安全確保と、母親からの情報収集が最優先される。正しくは:Aちゃんの安全を最優先し、母親からの情報収集を行う。選びやすい理由:父親も家族であり、子供の面会を希望することは自然であるという考えから、選択肢として選びたくなるかもしれない。混同注意:家族の協力の重要性と、傷害発生時の適切な初期対応との優先順位の混同。
国試ポイント
児童虐待が疑われる場合の看護師の初期対応、特に情報収集と信頼関係構築の重要性が問われている。プライバシー保護と安心できる環境提供がポイント。
混同注意
児童虐待に関する問題は、通告義務、情報収集、家族への介入など、多岐にわたる知識が求められるため、判断を誤りやすい。特に、感情的な側面と法的な側面を混同しないことが重要。
次に同じ論点が出たら
個室で話を聞いた後、得られた情報に基づいて、必要であれば多職種連携(医師、ソーシャルワーカー、児童相談所など)へ繋ぎ、Aちゃんの安全確保と家族への支援計画を立てる。
関連知識
児童虐待防止法、児童福祉法、児童の権利に関する条約、医療機関における児童虐待対応マニュアル、倫理綱領(守秘義務と通告義務のバランス)。