Aちゃん(6歳、男児)は父親(50歳、会社員)、母親(48歳)、姉(11歳)と4人で暮らしている。Duchenne〈デュシェンヌ〉型筋ジストロフィーで身体障害者手帳(肢体不自由1級)が交付されている。喀痰吸引、胃瘻による経管栄養が必要で、訪問看護を週に2回利用している。まばたきの回数で「はい」と「いいえ」の意思表示はできるが、視線や上肢の動きには誤動作もあり、構音障害もあるため家族以外では意思の判断が難しい。また、手指での細かい操作はできない。Aちゃんは次年度から姉と同じ小学校の特別支援学級に通い、通常の学級の児童と交流の予定がある。 入学時に担任がAちゃんの意思を確認する方法で最も適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
Aさんの状態が不明であるため、最も基本的な意思表示の方法として「はい」「いいえ」で答えられるクローズドクエスチョンを使用し、最も低侵襲でかつ身体機能に制約があっても可能なまばたきを利用した返事を確認する方法が、意思の確認として最もふさわしいと考えられます。これは、コミュニケーションが困難な状況でまず試みるべき基本的なアプローチです。
選択肢ごとの解説
- 1. Aさんの上肢機能や視力、集中力が不明なため、ひらがなの文字盤を指差して読み取る方法は、確実性に欠ける場合があります。また、指差しはまばたきよりも高次な運動機能が必要です。正しくは:Aさんの上肢機能や視力、集中力が確認できた上で、文字盤や絵カードを用いたコミュニケーションが可能であれば検討します。選びやすい理由:文字盤による意思伝達は一般的に広く知られている方法であり、直感的に選びやすいですが、本問題ではAさんの身体機能が不明であるため、最も基本的な手段から考える必要があります。混同注意:一般的な意思疎通の手段と、身体機能に重度の制限がある場合の最も基本的な意思確認方法との区別。指差しは比較的身体機能を要するため、より普遍的な方法ではない。
- 2. 視線で操作する意思伝達装置は高度な機器であり、Aさんにそれを操作する能力や、機器の準備・調整にかかる時間が不明です。まず試すべきは、より基本的な方法です。正しくは:Aさんの視線入力装置の操作能力や使用経験、および機器の準備状況が確認できた場合に検討します。または、他の基本的なコミュニケーション方法で意思確認が困難な場合に次のステップとして検討します。選びやすい理由:最新の技術を使った意思伝達装置は、効果的に見えるため選択肢として魅力的に映りますが、Aさんの状態が不明な中で最初から高度な機器を使用するのは適切ではありません。装置の準備やAさんの習熟も必要です。混同注意:最新のコミュニケーション支援技術と、緊急時や身体機能が不明な状況での基本的な意思確認方法との区別。高度な機器は、万能ではなく、状況と患者の能力に応じた選択が必要。
- 3. 正解。Aさんの状態が不明なため、最も確実で身体機能に制約があっても可能な「はい」「いいえ」で答えられるクローズドクエスチョンと、最も基本的な反応である「まばたき」を利用する方法が、最初に意思を確かめるのに最もふさわしいと考えられます。これは、Aさんの負担が少なく、多様な状態の患者に応用可能な普遍的な方法です。選びやすい理由:これは最も基本的なコミュニケーション方法であり、特に重度の身体機能障害が疑われる場合に有効です。混同注意:より高度な情報伝達手段と、最小限の身体機能を用いた最も基本的な意思表示手段との優先順位。
- 4. 感情の絵カードは感情の表現には有効ですが、Aさんの入学意思という具体的な「意思」を確かめるには不適切です。また、指差しは上肢機能や視力が良好である必要があります。正しくは:感情の表現を確認する場合には有効ですが、入学の意思のような具体的な質問には「はい」「いいえ」で答えられる質問がより適切です。選びやすい理由:絵カードは視覚的に分かりやすく、コミュニケーション手段として一般的に使用されますが、本問題で問われているのは「入学の意思」という具体的な事柄であり、感情表現には適していても意思確認には不十分です。混同注意:感情の表現手段と、具体的な意思確認手段の区別。絵カードは感情を読み取るのに適しているが、具体的な意思を問うのには適さないことが多い。
国試ポイント
コミュニケーションが困難な患者に対する意思確認の基本原則と段階的アプローチを理解する。特に、身体機能が低下している場合の代替コミュニケーション方法の選択基準。
混同注意
視線入力装置や文字盤など高度なコミュニケーション支援機器の使用と、まばたきや身振り手振りといった非言語的・原始的なコミュニケーション手段の使い分け。まずは最小限の身体機能で実施可能な方法から試みることが重要である。
次に同じ論点が出たら
患者の身体機能(特に上肢機能、視覚機能、発語能力)の残存状況を最初に確認し、その制約の中で最も確実かつ基本的な意思疎通手段から試みるという判断基準を持つ。
関連知識
重度な意識障害や運動麻痺を持つ患者とのコミュニケーション方法、AAC(補助代替コミュニケーション)の概念と種類、意思表示の階層性(クローズドクエスチョンからオープンクエスチョンへ)。