Aさん(42歳、男性)は、同僚との飲酒中に上腹部から背部の激しい痛みと嘔吐があり、救急搬送された。搬送時の心電図には異常を認めない。Aさんの状態をアセスメントするための血液検査項目で優先度が高いのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第114回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
飲酒後の上腹部から背部への放散痛と嘔吐は、急性膵炎を強く疑わせる症状です。急性膵炎の診断には、血中の膵酵素(リパーゼやアミラーゼ)の測定が極めて重要であり、特にリパーゼは膵臓への特異性が高いとされています。心電図に異常がないことから、心疾患の可能性は低いと判断でき、他の選択肢は急性期診断の優先順位としては低いと判断されます。
選択肢ごとの解説
- 1. アルブミンは栄養状態や肝機能の指標となりますが、急性の上腹部痛と嘔吐の緊急アセスメントにおいては、炎症や臓器障害の急性期マーカーよりも優先度は低いと考えられます。正しくは:アルブミンは慢性的な栄養状態や肝機能の指標であり、急性期の痛みや嘔吐の鑑別には直結しません。選びやすい理由:肝機能との関連から連想されるかもしれませんが、急性症状の直接的な原因特定には不向きです。混同注意:肝臓が関連する疾患でも変動しますが、この症例の急性期症状を評価する優先項目ではありません。
- 2. トロポニンは心筋の損傷を示すマーカーであり、心電図に異常がないことからも、この症例の急性上腹部痛と嘔吐の主要な鑑別項目としては優先度が低いと判断されます。心臓以外の原因をまず疑うべきです。正しくは:トロポニンは心筋梗塞などの心疾患を疑う場合に測定しますが、心電図異常がなく、飲酒中の発症であることから、心疾患の可能性は低いと判断されます。選びやすい理由:上腹部痛は心疾患の放散痛の可能性も考慮されるため、選択肢として気になるかもしれませんが、心電図で異常がない点が重要です。混同注意:胸痛や上腹部痛が心臓由来の可能性を完全に否定するわけではありませんが、心電図に異常がないことと飲酒という背景から、より特異性の高い検査が優先されます。
- 3. 中性脂肪高値は急性膵炎の原因となり得ますが、症状の急性期において、膵炎の診断を確定するためには、膵酵素であるリパーゼやアミラーゼの値がより直接的な指標となります。中性脂肪は原因検索のための項目であり、診断の優先度はリパーゼに劣ります。正しくは:中性脂肪は高値の場合に急性膵炎のリスク因子となりますが、診断を確定するためのマーカーとしてはリパーゼやアミラーゼがより直接的です。選びやすい理由:高脂血症性膵炎を想起させるため、選択したくなるかもしれませんが、診断の直接的な指標は酵素です。混同注意:急性膵炎の原因として重要ですが、発症時の診断マーカーとしての優先度はリパーゼに及びません。
- 4. 正解。飲酒後に発症した上腹部から背部への激しい痛みと嘔吐は、急性膵炎を強く示唆する症状です。リパーゼは膵臓特異性の高い酵素であり、急性膵炎の診断において非常に重要な血液検査項目であるため、優先度が高いです。正しくは:リパーゼは急性膵炎の診断に最も特異性の高い酵素であり、この症状から緊急で確認すべき項目です。選びやすい理由:アミラーゼも膵炎の診断に用いられますが、リパーゼの方が膵臓への特異性が高いとされています。混同注意:アミラーゼと混同しやすいですが、リパーゼの方が膵臓に特異的で、診断的価値が高いとされています。
国試ポイント
飲酒歴のある患者における上腹部痛と嘔吐の鑑別診断、特に急性膵炎の診断マーカーに関する知識が問われています。心電図所見から心疾患を除外できるかがポイントです。
混同注意
アミラーゼとリパーゼのどちらが膵臓特異性が高いか、また、中性脂肪と急性膵炎の原因との関連性を理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
リパーゼ高値が確認された場合、さらに腹部CTや超音波検査で膵臓の状態を詳細に評価し、急性膵炎の重症度分類を行い、治療方針を決定します。電解質バランス、脱水、ショック徴候の有無なども継続的に評価が必要です。
関連知識
急性膵炎の病態生理、原因(アルコール、胆石など)、臨床症状、合併症、治療、および他の上腹部痛を呈する疾患(心筋梗塞、消化性潰瘍穿孔、胆嚢炎など)との鑑別。血液検査項目としてアミラーゼ、白血球数、CRP、AST、ALT、ALP、LDHなども関連する。