術後1日の手術創の正常な治癒過程として正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第111回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
手術後の創傷治癒は、主に炎症期、増殖期、再構築期という3つの段階を経て進行します。術後まもない段階でまず起こるのは炎症期であり、この時期には血管透過性の亢進により創部に血液成分が滲み出し、浮腫(むくみ)が生じます。これは生体を防御し、治癒の準備をするための正常な反応です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。手術直後から数日間の炎症期において、損傷部位の血管透過性が亢進し、血液中の水分やタンパク質が組織間液として漏れ出すため、創部は腫れ(浮腫)を呈します。これは治癒の初期段階で起こる正常な生理的反応です。
- 2. 肉芽組織の形成は、炎症期に続く増殖期(通常、術後3〜5日以降)に起こる現象です。これは新しい血管や線維芽細胞が増殖して創部を埋める段階であり、術後直後には観察されません。正しくは:肉芽組織が形成されるのは、炎症期の後、増殖期(通常、術後数日〜数週間)です。選びやすい理由:創が治っていく過程で非常に重要なステップであるため、治癒過程の代表的なイメージとして選ばれがちですが、『術後まもない段階』という時間的制約に合いません。混同注意:治癒過程のどの段階で何が起こるかという時系列を混同している可能性があります。
- 3. コラーゲンの成熟と瘢痕組織への変化は、最も遅い再構築期(リモデリング期)に起こります。これは増殖期のさらに後で、数週間から数年を要する長期的な過程であり、術後まもない時期の現象ではありません。正しくは:コラーゲンの成熟と瘢痕組織への変化は、治癒過程の最終段階である再構築期(数週間〜数年)に起こります。選びやすい理由:創傷が最終的に治った状態を指すため、治癒のゴールとして誤って選ばれることがあります。混同注意:創傷治癒の各フェーズの順番と、それぞれのフェーズで起こる主要な現象を混同している可能性があります。
- 4. 血管内皮細胞による新しい血管形成(血管新生)は、肉芽組織形成の一環として増殖期に起こるプロセスです。これも術後まもない炎症期に先行する現象ではありません。正しくは:血管内皮細胞による新しい血管形成は、増殖期における肉芽組織形成の一環として起こります。選びやすい理由:治癒に不可欠なプロセスであり、特に深い傷では重要性が高いため、治癒の初期段階として誤解されることがあります。混同注意:炎症期と増殖期に起こる現象、特に肉芽組織形成に関わる詳細なプロセスと初期の反応を混同している可能性があります。
国試ポイント
創傷治癒過程の各段階で起こる主要な生理学的変化と、その時間軸を正確に理解しているかが問われています。特に、炎症期(初期)、増殖期(中期)、再構築期(後期)の区別が重要です。
混同注意
炎症期と増殖期に起こる現象、特に『浮腫』と『肉芽形成』の順序が混同されやすいです。浮腫は炎症期の初期に起こり、肉芽形成は増殖期の中期に起こります。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が問われた場合、まず『いつの段階の現象か』という時間軸を明確にし、次にその段階で起こる『主要な生理的変化や細胞の働き』を正確に思い出せるかを確認します。
関連知識
創傷治癒の3段階(炎症期、増殖期、再構築期)、それぞれの期間の目安、各段階での細胞の動態(好中球、マクロファージ、線維芽細胞など)、および組織の変化(炎症、血管新生、コラーゲン産生とリモデリング)。二次治癒と一次治癒の違いも関連知識として重要です。