尿中ケトン体が陽性になる疾患はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第114回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
糖尿病患者でインスリン作用が不足すると、細胞はブドウ糖をエネルギーとして利用できなくなります。その代わりに脂肪が分解され、ケトン体(アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸、アセトン)が肝臓で大量に産生されます。これにより血液中のケトン体濃度が上昇し、腎臓から尿中に排出されるため、尿中ケトン体が陽性となります。これは糖尿病性ケトアシドーシスという重篤な合併症の兆候であり、早期の対応が必要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 痛風は尿酸代謝の異常によって関節炎などを引き起こす疾患であり、尿中にケトン体が検出されることは通常ありません。正しくは:痛風では尿酸値の上昇が主要な特徴です。選びやすい理由:代謝性疾患という点で糖尿病と混同しがちですが、関わる代謝経路が異なります。混同注意:他の代謝性疾患、特に糖代謝の異常と混同しやすいですが、痛風はプリン体の代謝異常が原因です。
- 2. 肝硬変では肝臓の機能が著しく低下しますが、尿中ケトン体が陽性になる直接的な主要因ではありません。むしろ重度の肝機能不全ではケトン体の産生能力自体が低下することがあります。正しくは:肝硬変の主な所見には、黄疸、腹水、肝性脳症、凝固能低下などがあります。選びやすい理由:重篤な全身疾患であるため、体内の様々な異常と関連付けて選びやすいかもしれません。混同注意:他の臓器不全に伴う代謝異常全般と混同しやすいですが、ケトン体は肝臓で産生されるため、肝機能が悪化すると産生量が低下する可能性があります。
- 3. 正解。糖尿病、特にインスリンが不足している状態(例:糖尿病性ケトアシドーシス)では、ブドウ糖をエネルギー源として利用できないため、脂肪を分解してエネルギーを得ようとします。この脂肪分解の過程で大量のケトン体が生成され、血液中に蓄積し、最終的に尿中に排泄されて陽性となります。
- 4. ネフローゼ症候群は、腎臓の糸球体に異常が生じ、大量のタンパク質が尿中に漏れ出す疾患です。尿中ケトン体の陽性とは直接的な関連はありません。正しくは:ネフローゼ症候群では、尿タンパクの陽性、低アルブミン血症、浮腫、高脂血症などが特徴的な所見です。選びやすい理由:腎臓の疾患であるため、尿検査で異常が見られる他の疾患と混同しやすいかもしれません。混同注意:尿検査で異常が検出される様々な疾患(尿糖、尿タンパク、尿潜血など)と混同しやすいですが、ネフローゼ症候群の主な特徴は高度なタンパク尿です。
国試ポイント
この問題は、主要な疾患とその特徴的な検査所見(特に尿検査の項目)との関連性を正確に理解しているかを問うものです。特に糖尿病性ケトアシドーシスの病態生理と尿中ケトン体との関係性を把握していることが重要視されます。
混同注意
他の代謝性疾患や、尿検査で異常が見られる別の疾患(腎疾患など)と混同しやすい傾向があります。尿中ケトン体が産生されるメカニズム(糖利用障害と脂肪分解)について、他の尿検査項目(尿糖、尿蛋白など)との違いを含め、正確な理解が求められます。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出題される場合、糖尿病性ケトアシドーシスの具体的な症状(例:クスマウル呼吸、腹痛、意識障害)、緊急時の看護介入、または他の糖尿病の急性合併症(高浸透圧高血糖症候群など)との鑑別について問われる可能性があります。また、ケトン体以外の糖尿病の診断・モニタリングに用いられる検査項目(血糖値、HbA1c)についても確認が必要です。
関連知識
糖尿病の病態生理(インスリン作用不足、糖代謝異常、脂肪代謝異常)、糖尿病性ケトアシドーシスの症状と治療、尿検査の各項目とその意義(尿糖、尿蛋白、尿潜血、尿比重、尿中ケトン体)、ケトン体産生に関わる生化学的経路(脂肪酸のβ酸化など)、飢餓時のケトン体産生。