抗癌薬の副作用(有害事象)で骨髄抑制によるものはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第114回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
抗がん剤による骨髄抑制とは、骨髄の造血機能が低下し、赤血球、白血球(特に好中球)、血小板といった血球の産生が抑制される状態を指します。その結果、貧血(赤血球減少)、易感染性(白血球減少)、出血傾向(血小板減少)などが生じます。設問は「骨髄抑制によるもの」を問うているため、直接的に血球産生に影響する「血液中の細胞(血球)の減少」が正解です。
選択肢ごとの解説
- 1. 吐き気や嘔吐は、抗がん剤が脳の嘔吐中枢や消化管に直接作用することで引き起こされます。骨髄抑制とは異なる機序で発生する副作用です。正しくは:抗がん剤の消化管への直接刺激や、脳の化学受容器引き金帯(CTZ)の刺激によって生じます。選びやすい理由:抗がん剤の非常に一般的な副作用であり、患者の苦痛も大きいため、代表的な副作用として選びやすいです。混同注意:他の一般的な抗がん剤の副作用と混同しやすく、骨髄抑制に特有の症状ではないため注意が必要です。
- 2. 脱毛は、抗がん剤が活発に細胞分裂を繰り返す毛母細胞にダメージを与えることで起こります。骨髄の機能低下とは直接関係ありません。正しくは:毛母細胞への抗がん剤の直接的な細胞障害作用によって生じます。選びやすい理由:視覚的に顕著で患者のQOLに大きく影響するため、抗がん剤の代表的な副作用として認識されやすく、選択肢として魅力的です。混同注意:消化管粘膜細胞などと同様に、細胞分裂が活発な組織が抗がん剤の標的となるため、骨髄と同じく細胞障害性である点で混同されることがあります。しかし、機序は異なります。
- 3. 正解。骨髄は、赤血球、白血球、血小板といった様々な血液中の細胞(血球)を産生する重要な器官です。抗がん剤が骨髄の細胞にダメージを与えると、これらの血球の産生が抑制され、結果として血液中の血球数が減少します。これが骨髄抑制の直接的な影響です。
- 4. 神経障害は、一部の抗がん剤が直接神経細胞に毒性を示すことで発生します。特に末梢神経が影響を受けやすいですが、骨髄の機能とは直接関連がありません。正しくは:特定の抗がん剤が末梢神経細胞に直接的な毒性を示すことで生じます。選びやすい理由:特定の種類の抗がん剤(例:タキサン系、プラチナ製剤)では非常に頻繁に見られる重篤な副作用であるため、選びやすいかもしれません。混同注意:他の臓器や組織への直接的な細胞障害作用による副作用と混同されやすいです。骨髄は血液細胞を造る場所であり、神経細胞ではありません。
国試ポイント
抗がん剤の副作用の中から、特に「骨髄抑制」に起因する症状を正確に識別できるか、また、他の一般的な副作用(消化器症状、脱毛、神経障害など)と区別できるかが問われています。抗がん剤治療における骨髄抑制の機序とその臨床的な影響を理解していることが重要です。
混同注意
抗がん剤の副作用は多岐にわたるため、すべてが骨髄抑制によるものと誤解されやすいですが、それぞれの副作用には異なる発生機序があります。特に、細胞分裂が活発な細胞(骨髄細胞、毛母細胞、消化管粘膜細胞など)が標的となりやすいという共通点はあるものの、どの細胞が障害されるかによって生じる症状が異なります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の問題が出た場合、抗がん剤の副作用が「どの細胞・組織に作用して発生するか」という作用機序を意識して選択肢を検討してください。例えば、吐き気は消化管や脳、脱毛は毛母細胞、神経障害は神経細胞への直接作用によるものです。
関連知識
骨髄抑制の結果生じる具体的な病態(白血球減少による感染症リスク、血小板減少による出血リスク、貧血による倦怠感や息切れ)と、それらに対する看護ケア(感染予防策、出血傾向の観察と対応、輸血管理など)を理解していることが求められます。また、副作用管理のためのG-CSF投与や輸血の知識も関連します。