Aさん(25歳、男性)は、統合失調症と診断された。抗精神病薬の内服を開始した2日後、Aさんはそわそわして落ち着かず「足がムズムズする」と歩き回るようになった。Aさんにみられている状態はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第109回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
統合失調症の治療に用いられる抗精神病薬の副作用として、アカシジア(静座不能症)は比較的早期に発現することがあります。患者は内的な不穏感や足のムズムズ感を感じ、じっとしていられずに歩き回る行動をとるのが典型的な症状です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。アカシジアは、抗精神病薬の副作用としてよく見られる錐体外路症状の一つで、「静座不能症」とも呼ばれます。患者は足のムズムズ感や落ち着きのなさから、座っていられず歩き回るといった行動を示します。設問の記述はアカシジアの典型的な症状と一致します。
- 2. ジストニアは、持続的な筋肉の不随意収縮により、体の特定の部位がねじれたり、異常な姿勢になったりする症状です。例として、首のねじれ(痙性斜頸)や眼球上転発作などがあります。設問のような「足のムズムズ感」や「歩き回る」といった症状とは異なります。正しくは:ジストニアは、顔や首、体幹などの筋肉が持続的に収縮し、ねじれたり、異常な姿勢をとったりする状態です。選びやすい理由:抗精神病薬の錐体外路症状の一つであるため、混同しやすいかもしれません。混同注意:アカシジアやジスキネジアといった他の錐体外路症状と混同する可能性があります。
- 3. ジスキネジアは、不随意運動を指す一般的な用語ですが、特に抗精神病薬の長期服用で生じる「遅発性ジスキネジア」は、口をもぐもぐさせたり、舌を突き出したりといった顔面や口周囲の不随意運動が特徴的です。設問の記述とは症状が異なります。正しくは:ジスキネジア(特に遅発性ジスキネジア)は、口や舌、顔面などに不随意なクチャクチャとした動きや、体が勝手に動く症状を指します。選びやすい理由:これも抗精神病薬の副作用であり、不随意運動であるため、全体として「ジスキネジア」という言葉の響きから選んでしまうかもしれません。混同注意:アカシジアやジストニア、またはミオクローヌスなどの不随意運動と混同する可能性があります。
- 4. ミオクローヌスは、筋肉が素早くぴくっと不随意に収縮する現象です。しゃっくりや寝入るときのビクつきなども含まれます。設問の「足がムズムズして歩き回る」という症状とは異なります。正しくは:ミオクローヌスは、筋肉の急激な不随意収縮による、短く電撃的な『ぴくつき』を特徴とします。選びやすい理由:不随意な動きという点で共通するため、選択肢として魅力的かもしれません。混同注意:その他の不随意運動や錐体外路症状と混同しやすいです。
国試ポイント
抗精神病薬の副作用である錐体外路症状(アカシジア、ジストニア、ジスキネジア)それぞれの具体的な症状を区別して理解しているか、またそれらがいつ頃発現しやすいかを問う問題です。特に、身体症状の具体的な描写から適切な用語を選ぶ力が求められます。
混同注意
アカシジア、ジストニア、ジスキネジアといった抗精神病薬の主な錐体外路症状は、症状が似ている部分があるため混同しやすいです。それぞれの症状の具体的な特徴を把握することが重要です。
次に同じ論点が出たら
同様の状況で「首がねじれる」「眼球が上転する」といった記述があればジストニア、「口をモグモグさせる」「舌を出す」といった記述があれば遅発性ジスキネジアと判断できるかを確認します。
関連知識
抗精神病薬の主な副作用(錐体外路症状、悪性症候群、代謝系副作用など)、およびそれぞれの症状への対処法。錐体外路症状の分類(急性ジストニア、アカシジア、パーキンソン症候群、遅発性ジスキネジア)と、発現時期。