関節拘縮の予防を目的とした関節可動域〈ROM〉訓練で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
関節拘縮を予防するためのROM訓練では、患者さんに苦痛を与えず、関節や周囲組織を損傷させないことが最優先されます。そのため、他動運動を行う際は、患者さんの痛みの訴えに十分に注意し、痛みが生じない範囲で丁寧に行うことが重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 関節可動域訓練は、筋肉や関節に過度な負担をかけないよう、ゆっくりとスムーズに行うのが原則です。速く動かすと、痛みや組織損傷のリスクが高まります。正しくは:関節をゆっくりとスムーズに動かす。選びやすい理由:短時間で効果を出したいという思いから、速く動かすことが効率的だと誤解する可能性があります。混同注意:他の運動(例:有酸素運動の一部)で速さが求められる場合と混同するかもしれません。
- 2. 運動麻痺がある患者さんのROM訓練は、健側(麻痺のない側)から行うのが一般的です。健側の動きを把握し、患者さんの反応を確認しながら患側へと進めることで、安全に効果的な訓練を行うことができます。また、健側で正しい動きを学習し、患側へのフィードバックを促す目的もあります。正しくは:運動麻痺がある場合でも、訓練はまず健側から行い、患者の状態を確認しながら患側の訓練を進める。選びやすい理由:患部に問題があるため、そちらから集中的にアプローチすべきだと考えてしまう可能性があります。混同注意:創傷処置など、問題のある部位から直接アプローチするものと混同するかもしれません。
- 3. 正解。関節可動域訓練、特に他動運動では、無理に関節を動かして痛みを与えると、患者さんの苦痛を増すだけでなく、筋肉の防御性収縮を誘発し、かえって拘縮を悪化させたり、組織を損傷したりするリスクがあります。そのため、痛みを伴わない範囲で慎重に行うことが極めて重要です。
- 4. 徒手筋力テストが1以下では、筋の収縮はあっても関節を動かすことができないため、自動運動は行えません。他動運動で関節可動域を維持します。選びやすい理由:患者自身の主体性を尊重し、できるだけ自動運動を促したいという心理が働く可能性があります。少しでも動かせるなら自動運動と考えるかもしれません。混同注意:MMTの各段階における適切な運動療法の理解が曖昧だと間違えやすいです。MMT3以上であれば重力に抗した自動運動が可能です。
国試ポイント
関節可動域(ROM)訓練の目的と原則に関する基本的な知識が問われています。特に、訓練時の安全確保(痛みへの配慮、速度、対象)と、患者の状態(運動麻痺、筋力レベル)に応じた適切な運動療法の選択が重要論点となります。
混同注意
MMTの各段階でどの運動(自動運動、他動運動、自動介助運動など)が適切であるか、また、健側・患側の訓練開始順序について混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
次回同様の問題が出た場合、ROM訓練の目的・種類・実施原則(特に安全性と個別性)、およびMMTの結果と運動療法の対応関係が正確に理解できているかを確認する必要があります。
関連知識
ROM訓練の目的(拘縮予防、循環改善、身体意識の向上など)、種類(自動運動、他動運動、自動介助運動)、実施上の注意点(疼痛の有無、速度、範囲、関節の安定性)、徒手筋力テスト(MMT)の評価基準とその結果に応じた運動療法の選択。