ムーア, F. D.が提唱した外科的侵襲を受けた患者の生体反応で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
ムーアの提唱する外科的侵襲に対する生体反応の段階のうち、転換期(代謝性回復期)では、体液貯留が改善し、血管内への水分が戻ることで循環血液量が増加します。これにより、利尿が促され、浮腫も軽減していくのが特徴です。
選択肢ごとの解説
- 1. 傷害期(急性期)では、抗利尿ホルモン(ADH)の分泌増加や腎血流の低下により、尿量は通常減少します。正しくは:傷害期では尿量が減少する。選びやすい理由:水分バランスを維持しようとする体の反応と混同しやすいが、侵襲時のホルモン反応は尿量減少に働く。混同注意:水分摂取量と尿量、または回復期の利尿期と混同する可能性がある。
- 2. 正解。転換期(代謝性回復期)では、組織損傷の修復が始まり、血管透過性の改善やアルブミン合成の促進により、血管内への水分移動が活発になり循環血液量が増加します。これは浮腫の改善や利尿を伴うことが多いです。
- 3. 筋力回復期は、主にアノボリック期(同化期)に相当し、蛋白合成が促進され、筋力回復や体重増加が見られる時期です。蛋白分解は抑制されます。正しくは:筋力回復期では蛋白の合成が進む。選びやすい理由:長期的な回復過程でのエネルギー消費や、術後の栄養不良と混同しやすい。混同注意:初期の異化期(分解期)と回復期のアノボリック期(同化期)の区別が曖昧になることがある。
- 4. 脂肪蓄積期は、ムーアの分類における最終段階であり、エネルギー蓄積と組織修復が完了し、体力が回復し活動性が向上する時期です。活動性の低下は初期段階に見られます。正しくは:脂肪蓄積期では活動性が向上する。選びやすい理由:長期臥床による活動性低下が長引くイメージと結びつけやすい。混同注意:回復の初期段階における疲労や活動制限と、最終的な回復期の状態を混同する。
国試ポイント
外科的侵襲を受けた患者の生体反応に関するF.D.ムーアの分類(傷害期、転換期、筋力回復期、脂肪蓄積期)とその各期の主要な生理学的変化を正確に理解しているかを問う問題です。特に、それぞれの期における体液バランス、代謝、ホルモン反応の変化が重要となります。
混同注意
各期の特徴が似ているように見えるため、尿量、循環血液量、蛋白代謝、活動性などの具体的な変化を混同しやすいです。特に、傷害期と転換期における体液動態の変化は注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
ムーアの分類の各期における、主要なホルモンの分泌動態、中心となる代謝(異化か同化か)、体温、水分出納(尿量、浮腫)、循環動態(循環血液量、血圧)、そして患者の全身状態の変化(活動性、体重)について、具体的な変化を想起できるかを確認します。
関連知識
術後合併症(ショック、感染症)、電解質バランス、ADH(抗利尿ホルモン)、アルドステロン、コルチゾールなどのホルモンの働き、異化と同化の概念。