1回の気管内吸引を30秒以上実施した場合に生じるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第111回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
気管内吸引中は、吸引カテーテルが気道を塞ぎ、また気道内の空気(酸素)も一緒に吸引されるため、肺への酸素供給が一時的に途絶えます。30秒以上という長時間にわたる吸引は、この酸素供給停止期間が極めて長くなり、患者の重篤な低酸素血症を招く危険性が非常に高くなります。安全な吸引時間は通常10〜15秒以内とされています。
選択肢ごとの解説
- 1. 気管内吸引によって直接嘔吐が誘発される可能性は低いですが、咽頭刺激による嘔吐反射や、カテーテルが誤って胃に入った場合に起こり得ます。しかし、30秒以上の吸引時間に特異的な合併症ではありません。正しくは:嘔吐は、誤嚥性肺炎のリスクがある場合に経口的に吸引した場合や、胃砿へ誤ってカテーテルが挿入された場合に起こりやすいです。選びやすい理由:吸引操作全般に伴う不快感や反射の一部として考えやすいです。混同注意:咽頭刺激による嘔吐反射や、吸引そのものの副作用と混同しやすいです。
- 2. 感染は、吸引手技が不潔である場合や、カテーテルの使い回しなど、長期的な吸引管理や不適切な手技によってリスクが高まります。一度の吸引時間が長いこと自体が直接的な感染の原因とはなりません。正しくは:感染は、不適切な清潔操作や汚染された器具の使用によって引き起こされる可能性があります。選びやすい理由:吸引操作が侵襲的であるため、全体的な合併症の一つとして挙げられやすいです。混同注意:肺炎などの気道感染症と、吸引手技の清潔操作の不備による感染と混同しやすいです。
- 3. 正解。気管内吸引中は、吸引カテーテルが気道を一時的に閉塞し、肺への酸素供給が遮断されます。また、気道内の空気(酸素)も一緒に吸引されてしまいます。30秒以上という長時間にわたる吸引は、酸素供給が途絶える期間が非常に長くなるため、重篤な低酸素血症を引き起こす危険性が極めて高くなります。
- 4. 気道粘膜の損傷は、吸引カテーテルを挿入する際の摩擦や、カテーテルが気管壁に強く当たることで発生します。これは吸引時間よりも、カテーテルの挿入方法や吸引圧、カテーテルの素材などが主な原因となります。長時間吸引が直接の原因というよりは、手技そのものの問題が大きいです。正しくは:気道粘膜の損傷は、カテーテルの不適切な挿入方法や過度な吸引圧によって引き起こされる可能性があります。選びやすい理由:長時間吸引することで、機械的刺激が長時間続くため、粘膜への影響があると考えやすいです。混同注意:長時間吸引による間接的な影響と、カテーテル操作による直接的な損傷とを混同しやすいです。
国試ポイント
気管内吸引の実施時間に関する安全管理と合併症の理解が問われています。特に、吸引時間が延長することによって生じる最も危険な合併症である低酸素血症を正確に認識しているかがポイントです。看護師が安全に吸引を実施するための基本的な知識として必須です。
混同注意
吸引による合併症は多岐にわたるため、直接的な吸引時間延長による影響(低酸素血症)と、吸引操作全般の不適切さによる合併症(感染、粘膜損傷、不整脈など)を混同しやすいです。本問では「30秒以上」という時間的要因に特化した影響を問われています。
次に同じ論点が出たら
気管内吸引に関する問題が出た場合、「時間」の条件に注目し、長時間吸引による直接的な生理学的影響(特に呼吸・循環系への影響)を最優先で考える。他の合併症は、手技の清潔性、カテーテルの選択・挿入方法、吸引圧など、原因が多岐にわたることを理解しておく。
関連知識
気管内吸引の適応、禁忌、適切な吸引圧、カテーテルの種類と選択、吸引前後の体位、吸引手技の手順(清潔操作、カテーテル挿入深度、吸引時間)、合併症(不整脈、気管支攣縮、肺虚脱、感染、出血、誤嚥など)とその予防策、吸引前後の酸素化の重要性。