Aさん(64歳、男性)は、2年前に前立腺癌と診断され、内分泌療法を受けていた。1か月前から体動時に強い痛みが腰部に生じるようになり、外来を受診したところ腰椎転移と診断された。Aさんに生じている痛みで最も考えられるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第108回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
腰椎転移による痛みは、骨膜や骨そのものに存在する侵害受容器が刺激されることで生じます。これらの受容器は皮膚、筋、骨、関節、結合組織などに分布し、刺激が脊髄後角を介して上位中枢へ伝達されるため、体性痛に分類されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 関連痛は、内臓の痛みが離れた体性部位に放散して感じられる痛みであり、本事例の腰椎転移による骨痛とは機序が異なります。正しくは:関連痛は、例えば心筋梗塞による左腕の痛みのように、内臓の障害が体性部位に放散する痛みです。選びやすい理由:痛みが離れた場所に感じられるという漠然としたイメージで選んでしまう可能性がありますが、発生源が異なります。混同注意:放散痛、体性痛
- 2. 正解。腰椎転移による骨への刺激は、骨膜や骨内の侵害受容器を直接刺激し、体性感覚神経を介して伝達されるため、体性痛に分類されます。選びやすい理由:腰部の痛みという局所的な訴えから、体の表面や骨格筋、骨に由来する痛みとして適切に判断できます。混同注意:内臓痛
- 3. 中枢痛は、脊髄損傷や脳卒中などの中枢神経系の病変によって生じる痛みであり、本事例の腰椎転移による痛みとは原因が異なります。正しくは:中枢痛は、視床痛のように中枢神経そのものの機能異常によって生じる痛みです。選びやすい理由:「激しい痛み」という表現から、より重篤な中枢神経系の障害と結びつけて考えてしまう可能性があります。混同注意:神経障害性疼痛
- 4. 内臓痛は、内臓の伸展、虚血、炎症などによって生じる鈍く広範囲な痛みであり、腰椎という骨組織の転移による痛みとは異なります。正しくは:内臓痛は、膵炎による上腹部痛のように、内臓の病変が原因で生じる痛みです。選びやすい理由:がんが「転移」しているという点から、広範囲な病態の内臓痛を選んでしまう可能性がありますが、腰椎は体性組織です。混同注意:体性痛、関連痛
国試ポイント
がん性疼痛の分類(体性痛、内臓痛、神経障害性疼痛)とその特徴を理解する。
混同注意
関連痛や内臓痛と混同しやすいですが、腰椎転移による骨痛は、侵害受容器が骨という体性組織に存在するため体性痛です。
次に同じ論点が出たら
がんの転移部位や浸潤部位が、体性組織(骨、筋肉、皮膚など)であれば体性痛、内臓(消化器、泌尿器など)であれば内臓痛、神経組織(脊髄、末梢神経など)であれば神経障害性疼痛と判断する。
関連知識
体性痛は局在が比較的はっきりしており、鋭い痛みや重い痛みとして感じられることが多いです。内臓痛は局在が不明瞭で、鈍い、締め付けられるような痛みと表現されやすいです。