Aさん(48歳、男性)は、仕事中に生じた胸部と右肩の違和感を主訴に来院した。バイタルサインは安定しているが、スタンフォード分類B型の急性大動脈解離と診断され、医師から手術を勧められた。治療の選択で迷っている様子のAさんへの対応で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第108回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
患者が治療法の選択に迷っている場合、まずは医師からの説明内容を患者がどれだけ理解しているかを確認することが重要です。特に治療のリスクや合併症は、患者の意思決定に大きく影響する情報です。看護師は、患者が情報を正確に理解し、疑問点を解消できるよう支援する役割を担います。この選択肢は、患者の理解度を確認し、次の支援につなげるための適切な第一歩と言えます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。患者が治療法の選択に迷っている場合、まず医師からの説明内容が十分に理解されているかを確認することが重要です。特にリスクや合併症といった重要な情報が不明確なままでは、適切な意思決定ができません。看護師は患者が情報を受け止め、理解できるようサポートする役割を担います。選びやすい理由:一見すると医師の説明を丸投げしているように見えるかもしれませんが、患者の理解度を確認し、必要な情報提供や追加の質問を促すことは、意思決定支援の第一歩として適切です。混同注意:患者の気持ちに寄り添うことと、具体的な情報理解の確認を混同しないように注意が必要です。患者の感情を受け止めつつ、実務的な支援を優先することが求められます。
- 2. 急性大動脈解離は緊急性の高い疾患ですが、患者の意思決定は十分な情報と理解に基づいて行われるべきです。患者に決断を急かすような発言は、心理的負担を増大させ、自己決定権を尊重しない対応です。正しくは:「治療方針について、不安に感じていることはありませんか。医師ともう一度話す時間を設けましょうか」など、患者の状況を考慮した声かけに修正します。選びやすい理由:急性大動脈解離の緊急性を考えると、早く決断させた方が良いのではないかと考えるかもしれませんが、患者の意思を尊重しない強引な対応は不適切です。混同注意:疾患の緊急性と患者の自己決定権の尊重とのバランスを誤解しやすい選択肢です。緊急時でも患者の意思決定プロセスを支援する姿勢が求められます。
- 3. 患者の治療法選択において、医師の判断が重要であることは事実ですが、最終的な決定は患者自身が納得して行うべきです。看護師が患者に特定の選択を促すような発言は、患者の自己決定権を侵害し、インフォームド・コンセントの原則に反します。正しくは:「担当医の先生から、治療に関するメリットとデメリットについて説明がありましたね。それについてどうお感じになっていますか」など、患者の考えを引き出す声かけに修正します。選びやすい理由:医師は専門家なので、その判断に任せるのが安全だと患者に勧めたくなるかもしれませんが、それは患者の意思決定プロセスを阻害します。混同注意:医療従事者としての医師への信頼と、患者の自己決定権の尊重を混同しないように注意が必要です。看護師は患者が自ら選択できるように支援する立場です。
- 4. スタンフォード分類B型の急性大動脈解離は緊急を要する疾患ですが、患者が治療に納得し、安心して臨むためには、十分な情報提供と疑問の解消が不可欠です。緊急時であっても、患者の不安を無視して一方的に話を進めるのは適切ではありません。正しくは:「現在の状況について、何か心配なことはありますか。医師からの説明で、もう少し詳しく聞きたいことはありますか」など、患者の不安を傾聴し、情報提供の機会を設ける方向へ修正します。選びやすい理由:状況の緊急性を優先し、後の説明に回した方が効率的だと考えがちですが、患者の不安や疑問を放置することは、治療への不信感につながる可能性があります。混同注意:緊急度と患者の心理的ケアや情報保障の必要性を混同しやすい選択肢です。緊急時でも患者の権利を尊重し、不安軽減に努めるべきです。
国試ポイント
患者の自己決定権の尊重とインフォームド・コンセントの支援は、看護倫理と法規の重要な柱です。緊急時であっても、患者が十分な情報に基づいて自らの治療を選択できるよう、看護師は情報提供の補足や理解度の確認、疑問点の明確化を支援する役割を担います。
混同注意
緊急性が高い疾患の場合、医療者はつい治療の必要性を強調し、患者の意思決定を急かしたり、医師の指示に従うよう促したりしがちです。しかし、患者が納得して治療に臨めるよう、十分な情報提供と心理的なサポートが不可欠であることを理解する必要があります。
次に同じ論点が出たら
Aさんの返答に応じて、さらに具体的な情報提供(必要であれば医師に再度説明を依頼)、精神的なサポート、他の医療スタッフとの連携などを検討します。
関連知識
インフォームド・コンセント、患者の自己決定権、倫理原則(自律尊重、無危害、善行、正義)、急性大動脈解離の病態と治療選択、患者教育、コミュニケーションスキル。