Aさん(81歳、女性)は夫(86歳)と2人で暮らしている。高血圧症で内服治療をしているが、血圧のコントロールはできている。両眼に老人性白内障があり、老人性難聴のために補聴器を使用している。認知機能は問題なく、日常生活動作〈ADL〉はほぼ自立している。1年前から両眼の羞明、霧視が強くなり、視力が低下して趣味の編み物ができなくなってきた。また、家の中を移動するときに小さな段差につまずいたりドアにぶつかるなど、歩行時の転倒の危険性が増えた。Aさんは自宅での生活を安全に送りたい、趣味を続けたいという希望があり、10日間程度の入院で両眼の超音波水晶体乳化吸引術と眼内レンズ挿入術を行うことになった。 入院当日、病棟の看護師がAさんに対してパンフレットを用いて手術前オリエンテーションを行うことになった。Aさんへのオリエンテーションの方法で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
手術後の注意点のように、患者にとって非常に重要な情報は、視覚的に目立つようにすることで、その重要性を伝え、記憶に残りやすくすることができます。赤色の太字は、注意を促し、緊急性や重要度を強調する効果的な方法です。
選択肢ごとの解説
- 1. 聴覚に問題がない場合、耳元で大声を出すことは不快感を与え、威圧的に感じられる可能性があります。通常の声量で、患者が聞き取りやすいように配慮することが重要です。正しくは:患者の聴力レベルに合わせて、無理のない声量と速度で話す。選びやすい理由:聴覚障害がある患者や、周囲が騒がしい状況では大声が必要な場合もあるため、一概に間違いとは言えないように見えるかもしれません。混同注意:聴覚障害者への配慮(例:補聴器の確認、筆談の併用)と、一般患者への適切なコミュニケーション方法を混同する可能性があります。
- 2. 患者の身体に触れる行為は、不安を抱いている患者にとって不快感や驚きを与える可能性があります。特に、説明を開始する前に無許可で触れるのは避けるべきです。触れる場合は、事前に声かけで許可を得ることが基本です。正しくは:まず声かけを行い、相手の反応を確かめてから、必要に応じて触れることの許可を得る。選びやすい理由:患者を安心させるためのスキンシップとして捉える人もいるため、選択肢として魅力的かもしれません。混同注意:共感を示すためのスキンシップや、意識レベルが低い患者への声かけ時の接触と、一般的な状況でのオリエンテーションを混同する可能性があります。
- 3. 窓際の日当たりの良い場所は、光の反射(グレア)でパンフレットが見えにくくなる可能性や、外部の景色が気になり集中を妨げる可能性があります。説明に適した環境は、静かで適切な明るさが確保された場所です。正しくは:パンフレットが見やすいように、光の反射がなく、落ち着いて説明を聞ける場所を選ぶ。選びやすい理由:明るい場所の方がパンフレットが見やすいと考えるため、一見正しいように思えるかもしれません。混同注意:「明るい場所=良い」という単純な判断と、視認性や集中を妨げる要因(反射光など)への配慮を混同する可能性があります。
- 4. 正解。手術後の注意点など、特に重要な情報は、患者の記憶に残りやすく、緊急性を認識させるために視覚的に強調することが効果的です。赤色の太字は注意を引きやすく、重要な情報の識別性を高めます。正しくは:正しい選択肢です。特にありません。
国試ポイント
患者への情報提供において、情報の重要度に応じた伝達方法の工夫が問われています。特に、視覚的な強調がいかに有効であるかを理解しているかがポイントです。
混同注意
情報提供時の適切なコミュニケーション方法全般(声の大きさ、身体接触、環境設定)と、視覚情報のデザインによる効果を混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出た場合、情報提供の対象となる患者の特性(年齢、疾患、理解度、感覚器の状態)と、情報の種類(重要度、緊急性、量)を考慮した上で、最も効果的で安全な伝達方法を選べるかを確認する。
関連知識
患者教育の原則、ユニバーサルデザインの視点、高齢者や視覚障害者への配慮、情報デザインの基本。