Aさん(24歳、女性)は大学卒業後、一般企業に就職したが、何度も自宅の鍵を閉めたかどうかを確認するため、遅刻を繰り返した。連絡せずに複数回の遅刻があったことを上司のBさんから強く注意され、うつ状態となったため精神科外来を受診したところ、強迫性障害と診断され、選択的セロトニン再取り込み阻害薬〈SSRI〉が処方された。 受診に同行していた母親からは「Aから『私の代わりに鍵が閉まっているか見てきてほしい』といった要望が多い。それに従わないと『どうして私のつらさを分かってくれないの』と大きな声を出す。どのように関わればよいか分からない」と看護師に相談があった。母親への看護師の対応で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
母親がAさんの病状をどのように認識しているか確認することで、母親の抱えるストレスや困惑の背景を理解し、その認識に合わせた具体的な情報提供や対応策の検討が可能となる。患者家族への支援の第一歩は、家族の現状認識とニーズを把握することであるため、この選択肢が最も適切である。
選択肢ごとの解説
- 1. Aさんの要求に応じ続けることは、母親の負担を増大させ、Aさんの症状を強化する可能性もあるため不適切である。看護師は家族の負担を軽減し、より良い対応方法を共に考える必要がある。正しくは:母親が困っている状況を考慮し、要求への対応方法を一緒に検討すべきである。選びやすい理由:患者の要求に応えることが一見、患者を安心させることにつながると誤解しやすいため。混同注意:患者のニーズを尊重することと、不適切な要求に盲目的に応じること。
- 2. 治療の成果が現れるまで現状維持を求めることは、母親の現在の困惑や負担を無視することになる。精神疾患の治療は長期にわたることが多く、その間、家族は適切な支援なしでは疲弊してしまう。正しくは:治療と並行して、母親の負担を軽減し、適切な対応を支援する必要がある。選びやすい理由:治療の効果を待つことが最も合理的だと考えがちであるため。混同注意:治療の長期性と家族の短期的なニーズへの対応。
- 3. 正解。母親がAさんの病状をどのように認識しているかを確認することは、母親が抱える具体的な困惑の原因を特定し、それに即した情報提供や対処法の検討に繋がるため、最も適切な第一歩である。選びやすい理由:家族の気持ちに寄り添う上で、その認識を把握することが最も重要だから。
- 4. Aさんが大声を上げても反応しないよう助言することは、行動療法的なアプローチの一つではあるが、その前に母親がAさんの病状をどのように認識しているか、また、母親がどのような状況で困っているのかを把握することが先決である。また、このような具体的な行動指示は、専門的な知識と個別のアセスメントに基づかなければ逆効果になる可能性もある。正しくは:母親の認識を確認し、状況をアセスメントした上で、必要に応じて適切な対応方法を助言する。選びやすい理由:問題行動への対処法として有効な場合があるため、選択肢として魅力的である。混同注意:患者の行動への直接的な対処と、家族の状況理解・支援の優先順位。
国試ポイント
精神疾患患者の家族への看護において、家族の現状認識の把握と個別性に応じた支援の重要性を理解する。
混同注意
家族の言動に直接介入するのではなく、まずは家族の状況を理解することの重要性。
次に同じ論点が出たら
精神疾患患者の家族支援を問う問題では、まず家族の認識や困惑、情報ニーズをアセスメントする選択肢が最も適切であると判断する。
関連知識
精神疾患患者の家族支援では、エンパワメントの視点から、家族が病気や患者と向き合う力を高める支援が求められる。具体的な支援内容として、疾患や治療に関する情報提供、症状への対処方法、心理的サポート、社会資源の紹介などが挙げられる。