ノロウイルス感染症に罹患した患者の嘔吐物が床に飛び散っている。この処理に使用する消毒薬で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
ノロウイルスはアルコールや多くの界面活性剤に抵抗性を持つノンエンベロープウイルスです。次亜塩素酸ナトリウムは、その強い酸化作用によりウイルスのタンパク質を変性させ、広範囲の微生物に有効であるため、ノロウイルスによる汚染物の処理には最も推奨される消毒薬です。特に嘔吐物処理には0.1%(1000ppm)の濃度が推奨されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 70%エタノールは、エンベロープを持つウイルス(例:インフルエンザウイルス)には効果がありますが、ノロウイルスのようなエンベロープを持たないノンエンベロープウイルスには十分な消毒効果が期待できません。正しくは:ノロウイルスに対しては効果が不十分なため、次亜塩素酸ナトリウムなどのより強力な消毒薬を使用する必要があります。選びやすい理由:一般的な手指消毒や多くの環境消毒で広く用いられるため、消毒薬の代表として選びやすいですが、ウイルス種による効果の違いを理解しておく必要があります。混同注意:エンベロープウイルスに対する効果と、ノンエンベロープウイルスに対する効果を混同しやすいです。
- 2. ポビドンヨードは主に皮膚や粘膜の消毒、手術野の消毒などに使用されますが、広範囲に散乱した嘔吐物の環境消毒には適していません。また、着色性があり、大量の使用は現実的ではありません。正しくは:環境表面の広範囲な消毒には不向きであり、ノロウイルスに対する主要な環境消毒薬としては推奨されません。選びやすい理由:強い殺菌作用があるというイメージから、あらゆる消毒に有効だと誤解されることがあります。混同注意:皮膚・粘膜消毒薬としての用途と、環境消毒薬としての用途を混同しやすいです。
- 3. 塩化ベンザルコニウムは逆性石鹸の一種で、一般細菌や一部の真菌には有効ですが、ノロウイルスのようなノンエンベロープウイルスに対する不活化効果はほとんど期待できません。正しくは:ノロウイルスに対しては効果が極めて低いため、使用すべきではありません。選びやすい理由:手指消毒液や器具の消毒によく用いられるため、一般的な消毒薬として選びやすいです。混同注意:一般細菌やエンベロープウイルスに対する効果と、ノンエンベロープウイルスに対する効果の違いを混同しやすいです。
- 4. 正解。次亜塩素酸ナトリウムは、ノロウイルスのようなエンベロープを持たないノンエンベロープウイルスに対しても強力な不活化効果を発揮します。嘔吐物や排泄物の処理においては、ウイルスを確実に除去・不活化するために、厚生労働省なども推奨する消毒薬です。適切な濃度(例えば、吐物処理には0.1%溶液)で使用することで、高い消毒効果が得られます。
国試ポイント
ノロウイルス感染症の病原体特性(ノンエンベロープウイルス)を理解し、その特性に合わせた適切な消毒薬を選択できるかどうかが問われています。一般的に広く使われる消毒薬が、すべての病原体に有効とは限らないという知識が重要です。
混同注意
日常生活でよく使用するアルコール消毒薬が、ノロウイルスにも万能だと誤解しやすい点が挙げられます。また、皮膚・粘膜消毒と環境消毒で推奨される消毒薬が異なることを混同することもあります。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の論点では、ノロウイルス以外の特殊な病原体(例:クロストリジウム・ディフィシル、結核菌、MRSAなど)に対する消毒薬の選択や、感染経路に応じた環境消毒の方法に関する知識が問われる可能性があります。
関連知識
ノロウイルスの感染経路(経口感染)、主な症状、潜伏期間、適切な手洗いの方法、汚染物処理時の個人防護具(手袋、マスク、エプロン)の着用、および次亜塩素酸ナトリウムの適切な希釈方法と取り扱い上の注意点(金属腐食性、漂白作用、酸との混合禁止)についても理解しておく必要があります。