糸球体濾過量の推定に用いられる生体内物質はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第111回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
クレアチニンは筋肉の代謝によって体内で一定量が生成され、そのほとんどが糸球体で濾過され、尿細管での再吸収はほとんどありません。ごくわずかな尿細管分泌はありますが、臨床的には糸球体濾過量を推定する上で最も簡便で実用的な生体内マーカーとして広く利用されています。イヌリンクリアランスは糸球体濾過量の測定において『ゴールドスタンダード』とされますが、これは体外から投与される物質であり、設問の『生体内物質』という条件には合致しません。
選択肢ごとの解説
- 1. 尿素は糸球体で濾過されますが、尿細管で一部再吸収されるため、糸球体濾過量の正確な指標とはなりません。正しくは:尿素クリアランスは尿細管での再吸収があるため、糸球体濾過量の正確な評価には適しません。選びやすい理由:尿素は腎機能の指標としてよく用いられるため、選択肢として魅力的ですが、糸球体濾過量の『推定』に限定すると不適切です。混同注意:血中尿素窒素(BUN)は腎機能のスクリーニング検査として広く使われますが、糸球体濾過量の直接的な評価には向きません。クレアチニンクリアランスの方がより正確な指標です。
- 2. イヌリンは糸球体で完全に濾過され、尿細管での再吸収も分泌もされないため、糸球体濾過量の評価に最も理想的な物質ですが、生体内物質ではなく、外から投与する必要があります。設問は『生体内物質』を求めています。正しくは:イヌリンは腎臓の糸球体濾過量の測定においてゴールドスタンダードとされますが、これは体外から投与する物質であり、生体内で産生される物質ではありません。選びやすい理由:イヌリンが糸球体濾過量の測定に最も適しているという知識から、誤って選択してしまう可能性があります。混同注意:イヌリンは厳密な糸球体濾過量測定に用いられますが、『生体内物質』という条件を見落とすと選択肢として有力に見えます。
- 3. ビリルビンは主に肝臓で代謝され、腎臓ではほとんど濾過されません。糸球体濾過量とは直接関係ありません。正しくは:ビリルビンは肝機能に関連する物質であり、腎臓の糸球体濾過機能を反映するものではありません。選びやすい理由:血液検査項目の一つとして知られていますが、腎機能とは関連が薄いことを理解しておく必要があります。混同注意:ビリルビンは黄疸の指標であり、腎機能とは関連がないことを明確に区別する必要があります。
- 4. 正解。クレアチニンは筋肉代謝の産物で、血中濃度が比較的安定しています。糸球体で自由に濾過され、尿細管での再吸収はほとんどなく、ごくわずかに分泌されるだけなので、糸球体濾過量を推定する指標として広く用いられます。正しくは:クレアチニンは、筋肉の代謝産物として体内で常に生成され、糸球体で濾過されるため、糸球体濾過量の評価に最も一般的に用いられる生体内物質です。選びやすい理由:イヌリンの知識がある場合、クレアチニンが劣る指標と認識されることもありますが、『生体内物質』という条件において最も適切な選択肢です。混同注意:クレアチニンは尿細管での分泌がわずかにあるため、厳密な糸球体濾過量よりやや高めに算出される傾向がありますが、実用上は最も便利な生体内マーカーです。
- 5. パラアミノ馬尿酸(PAH)は糸球体で濾過されるだけでなく、尿細管で積極的に分泌されるため、腎血漿流量(RPF)の測定に用いられます。糸球体濾過量の推定には適しません。正しくは:パラアミノ馬尿酸(PAH)は主に腎血漿流量(RPF)の測定に利用される物質であり、糸球体濾過量の指標としては不適切です。選びやすい理由:腎機能検査で用いられる物質であるため、関連があるように見えますが、その機能が糸球体濾過量ではなく、腎血漿流量であることを理解しておく必要があります。混同注意:腎機能を評価する物質として混同されがちですが、PAHは腎血漿流量の指標、クレアチニンは糸球体濾過量の指標という違いを明確に理解する必要があります。
国試ポイント
糸球体濾過量を評価する指標となる『生体内物質』と、その役割を正確に理解しているかが問われます。特に、イヌリンが最も正確な指標であることと、クレアチニンが生体内物質として最も利用される指標であることを区別して理解しているかが重要です。
混同注意
イヌリンとクレアチニンはどちらも糸球体濾過量に関連するが、イヌリンは『体外投与物質』でゴールドスタンダード、クレアチニンは『生体内物質』で臨床的によく用いられるという違い。
次に同じ論点が出たら
糸球体濾過量の推定に用いられる『体外物質』はどれか、という問いへの対応。
関連知識
糸球体濾過量(GFR)、腎血漿流量(RPF)、クレアチニンクリアランス、血中尿素窒素(BUN)、イヌリンクリアランス、パラアミノ馬尿酸(PAH)クリアランス。