A君(6歳、男児)は腹痛のため来院し、ネフローゼ症候群と診断され入院した。ステロイド治療が開始され、本日が7日目である。尿量の増加がみられ浮腫が軽減し、血圧は128/80 mmHg、尿蛋白+であった。A君に説明する必要があるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第114回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
ステロイド治療を受けているネフローゼ症候群の患者は、免疫力が低下しているため、感染症にかかりやすい状態です。特に小児の場合、感染症は重症化するリスクがあるため、手指衛生は最も基本的な感染予防策として、病状が改善傾向にあっても継続して指導し、徹底させることが極めて重要です。他の選択肢は、病状の改善に伴い緩和されるべき、あるいは病態に適さない内容です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。ステロイド薬を使用している間は、免疫機能が抑制され、感染症にかかりやすくなります。特に小児は感染リスクが高いため、最も基本的な感染予防策である手指の清潔保持は、本人と家族に徹底して指導し、習慣づけることが非常に重要です。
- 2. ネフローゼ症候群の急性期や浮腫が重度な時期には安静が必要ですが、A君は尿量増加、浮腫軽減と病状が改善傾向にあります。この段階で過度な床上安静を継続する必要性は低く、むしろ活動を徐々に再開させることが望ましいです。正しくは:症状が改善し浮腫が軽減している場合は、徐々に活動を再開できるよう指導する。選びやすい理由:病気が治りきっていないからまだ安静が必要だ、という思い込みから選びやすい。混同注意:重度の浮腫がある時期の安静と、症状改善期の活動制限の緩和を混同しやすい。
- 3. 浮腫が強く尿量が減少している時期には水分制限が考慮されますが、A君は尿量が増加し浮腫も軽減しています。利尿が促進されている状況で過度に水分を制限すると、脱水や電解質バランスの乱れを招く可能性があるため、厳密な制限は適切ではありません。正しくは:尿量や浮腫の状態に合わせて、医師や管理栄養士の指示に基づいた適切な水分摂取量を守る。尿量が増加し浮腫が軽減していれば、制限は緩和される。選びやすい理由:浮腫がある病気では水分制限は必ず必要だ、という一般的なイメージから選びやすい。混同注意:浮腫が強い急性期の水分制限と、改善期の水分管理を混同しやすい。
- 4. ネフローゼ症候群では、尿中に大量のタンパク質が排出され、体内のタンパク質が不足しやすくなります。このため、腎機能に問題がなければ、むしろ良質なタンパク質を適切に摂取して、失われた分を補う必要があります。過度な制限は栄養不良や成長障害につながります。正しくは:尿中へのタンパク質喪失を補うため、良質なタンパク質を必要量摂取する。過度な制限は行わない。選びやすい理由:腎臓病ではタンパク質制限が必要だ、という一般的な知識から選びやすい。混同注意:腎不全など腎機能低下時のタンパク質制限と、ネフローゼ症候群におけるタンパク質補充の必要性を混同しやすい。
国試ポイント
ネフローゼ症候群の病期(急性期と回復期)ごとの看護介入の違いと、ステロイド治療による副作用(特に易感染性)への対応に関する知識が問われています。感染予防の重要性、特に小児患者における指導のポイントを理解しているかが鍵となります。
混同注意
ネフローゼ症候群の急性期(浮腫が強く、活動制限や厳密な食事・水分制限が必要な時期)と、回復期(浮腫が軽減し、ステロイド治療の副作用管理や感染予防が中心となる時期)の看護介入が混同されやすい。また、他の腎疾患(腎不全など)における食事制限(特にタンパク質制限)とネフローゼ症候群の食事療法が混同されることもあります。
次に同じ論点が出たら
患者の現在の病期(急性期か回復期か、治療の効果はどうか)、治療内容(ステロイド治療の有無とその期間)、合併症のリスク(感染症の徴候など)、そして患者の年齢や理解度を総合的に判断し、その時期に最も優先される看護介入や指導内容を選択する。
関連知識
ネフローゼ症候群の病態生理(蛋白尿、低アルブミン血症、浮腫、高脂血症)と、ステロイド療法の主な副作用(易感染性、ムーンフェイス、高血糖、骨粗鬆症など)を理解していることが前提となります。また、小児における感染予防の具体的方法や、ネフローゼ症候群の食事療法(特に塩分とタンパク質の管理)に関する知識も重要です。