精神科病院での行動制限で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第114回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
精神保健福祉法第36条第3項および同法施行規則第3条の7において、隔離は精神保健指定医の指示によって行われ、その状態が12時間を超える場合は、再度精神保健指定医による診察と継続の判断が義務付けられています。これは、患者さんの人権を最大限に尊重しつつ、治療上の必要性から行われる行動制限が不当に継続されないようにするための重要な規定です。
選択肢ごとの解説
- 1. 身体的拘束の決定は、患者さんの安全を最優先し、医師がその必要性を医学的に判断して行うものです。家族の同意は重要ですが、それ自体が拘束を決定する唯一の根拠にはなりません。正しくは:身体的拘束は、精神保健指定医または担当医が、患者さんの心身の状態を総合的に判断し、他害や自傷の危険性が極めて高いと認めた場合に、緊急避難的に行われます。家族には状況を十分に説明し、理解を得ることが求められますが、決定権は医師にあります。選びやすい理由:患者さんの意思能力が低下している場合、家族の意見を尊重するべきだと考えがちです。また、医療行為におけるインフォームド・コンセントの重要性から、家族の同意があれば全ての医療行為が可能と誤解する可能性があります。混同注意:患者さんの治療方針や手術などの説明と同意(インフォームド・コンセント)の原則と、患者さんの人権に深く関わる行動制限の決定プロセスが混同されていることがあります。
- 2. 行動制限最小化委員会は、病院全体での行動制限の運用が適切であるか、またその数を減らすための改善策を検討・評価する役割を担っています。個々の患者さんの具体的な行動制限(隔離の開始やその内容)を直接決定する機関ではありません。正しくは:行動制限最小化委員会は、行動制限の実施状況を定期的に評価し、その適正化や最小化に向けた改善策を検討・助言します。個別の患者さんの隔離の開始や具体的な方法は、主治医や精神保健指定医が判断して行います。選びやすい理由:「行動制限」という言葉が入っているため、直接的な決定機関だと誤解されやすいです。委員会の役割が「最小化」にあることを見落としやすいでしょう。混同注意:患者さんの治療方針を決定する医療チームや主治医の役割と、病院全体の体制や運用を評価・改善する委員会の役割が混同されている可能性があります。
- 3. 正解。精神保健福祉法において、隔離は精神保健指定医の指示の下で行われます。特に、隔離が12時間を超えて継続する場合には、患者さんの人権保護の観点から、再度精神保健指定医が直接診察を行い、その継続の必要性を改めて判断することが義務付けられています。混同注意:隔離の開始時と継続時の判断要件の違い、また身体的拘束との時間要件の違いなどが混同されやすいです。
- 4. 身体的拘束は、患者さんや他の方の生命・身体を保護するために、緊急かつやむを得ない場合にのみ行われる最終手段です。その目的が達成され、危険性がなくなれば、速やかに解除されるべきであり、「精神症状が落ち着くまで」という不明確な理由で漫然と継続することは許されません。正しくは:暴力行為があり、他害や自傷行為の危険性が高く、他の方法では対応困難な場合に限り、最小限の期間、身体的拘束を行います。その必要性は常に評価され、必要性が認められなくなった時点ですぐに解除することが原則です。選びやすい理由:暴力行為があった際、患者さんや周囲の安全確保が最優先されるため、拘束の継続が必要不可欠だと考えてしまいがちです。安全確保と人権尊重のバランスを見誤る可能性があります。混同注意:緊急時の対応としての身体的拘束の必要性と、漫然とした拘束の継続が許されないという原則が混同されていることがあります。
国試ポイント
精神科医療における行動制限(身体的拘束、隔離など)に関する法的・倫理的知識が問われています。特に、精神保健福祉法に定められた具体的な要件、精神保健指定医の役割、および行動制限の原則(最小化、期間の限定、解除の検討)を正確に理解しているかが試されます。
混同注意
身体的拘束と隔離の判断基準や継続要件の違い、家族の同意が行動制限の決定に与える影響の範囲、行動制限に関する委員会の役割と医師の決定権の違いが混同されやすい点です。
次に同じ論点が出たら
患者さんの行動制限の必要性を判断する際には、まず代替となる制限の少ない方法がないかを検討すること。制限を行う場合は、その期間を最小限にとどめ、定期的に解除の可能性を評価すること。また、患者さんの精神状態や身体状態を常に観察し、詳細な記録を残すことが重要です。
関連知識
精神保健福祉法における行動制限の定義(隔離、身体的拘束、開放病棟制限など)、精神保健指定医の役割と職務、行動制限最小化のための指針、患者さんの人権尊重と自己決定権の保障、インフォームド・コンセントの原則。