高齢者の歩行時につまずきが見られる場合、筋力低下が考えられる筋肉はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
高齢者のつまずきの多くは、足が十分に上がらないこと、特に足関節の背屈(つま先を上げる動き)が不十分なために起こります。前脛骨筋はこの足関節の背屈を担う主要な筋肉であるため、この筋肉の筋力低下はつまずきやすさに直結します。
選択肢ごとの解説
- 1. 大殿筋は股関節の伸展を主な機能とする筋肉で、歩行時の推進力を生み出す役割があります。この筋力が低下すると、歩行時の推進力が弱まったり、立ち上がりが困難になったりしますが、つま先が地面に引っかかることによるつまずきとは直接的な関係が薄いです。正しくは:「歩行時の推進力が低下する」といった症状であれば関連がある。選びやすい理由:歩行全体に重要な大きな筋肉であるため、関連があるように感じやすい。混同注意:歩行の安定性や推進力に関わる他の股関節周囲筋と混同することがある。
- 2. 正解。前脛骨筋は足関節を背屈させ、つま先を上げる働きをする筋肉です。この筋肉の筋力が低下すると、歩行中に足のつま先が十分に持ち上がらず、地面に引っかかってつまずきやすくなります。特に高齢者では加齢に伴い筋力が低下しやすく、つまずきの主要な原因の一つとされています。
- 3. 下腿三頭筋(腓腹筋とヒラメ筋)は足関節を底屈させ、つま先を下に向けたり、地面を蹴り出したりする際に重要な役割を果たします。この筋肉の筋力低下は、歩行時の蹴り出し力の減少や歩行速度の低下につながりますが、つま先が地面に引っかかることによるつまずきを直接引き起こす主な原因ではありません。正しくは:「歩行時の蹴り出し力が低下する」や「推進力が不足する」といった症状であれば関連がある。選びやすい理由:「足の筋肉」として一般的に知られており、歩行に関わる筋肉という点で選びやすい。混同注意:足関節の動き全般や、歩行の推進力に関わる筋肉と混同する可能性がある。
- 4. 大腿四頭筋は膝関節の伸展(膝を伸ばす動き)を主な機能とし、立ち上がり、階段昇降、歩行時の着地衝撃吸収などに重要な役割を果たします。この筋肉の筋力低下は、膝折れや立ち上がりの困難さにつながりますが、歩行中のつま先の引っかかりによるつまずきとは直接的な関連が薄いです。正しくは:「立ち上がりが困難になる」や「膝折れを起こす」といった症状であれば関連がある。選びやすい理由:歩行全体に非常に重要な筋肉であるため、つまずきにも関わると思ってしまう可能性がある。混同注意:大腿部の他の筋肉や、膝関節の安定性に関わる筋肉と混同することがある。
国試ポイント
この問題は、高齢者の歩行障害や転倒予防に関する基本的な知識、特に足部の筋肉の機能と日常生活動作(ADL)への影響を問うものです。各筋肉の解剖学的機能と、それが具体的な身体症状や問題にどう関連するかを理解しているかが試されます。
混同注意
足関節に関連する筋肉、特に前脛骨筋(背屈)と下腿三頭筋(底屈)の役割を混同しやすいです。また、歩行全体に関わる大きな筋肉(大殿筋、大腿四頭筋)と、つまずきという特定の症状に直接関わる筋肉とを区別する能力が求められます。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、他の歩行障害(例:膝折れ、左右への動揺、股関節の外転障害など)と、それに伴う筋力低下の部位を関連付けて判断できるかが問われるでしょう。また、具体的な看護介入(運動指導、環境整備)を考察する問題へと発展する可能性もあります。
関連知識
高齢者の転倒予防、ロコモティブシンドローム、サルコペニアの概念と関連症状、歩行周期(特に遊脚期における足部のクリアランス)、各関節の可動域と筋力、理学療法・作業療法における歩行分析と介入策。