高齢者のコミュニケーション障害の要因と状態の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
高齢者のコミュニケーション障害には様々な要因がありますが、耳垢の蓄積は伝音性難聴の一般的な原因の一つです。外耳道に耳垢が過剰に溜まると、音波が鼓膜に到達するのを物理的に妨げ、結果として周囲の音が小さく聞こえるようになります。これは比較的簡単な処置で改善する可能性のある、可逆性のコミュニケーション障害要因です。
選択肢ごとの解説
- 1. 歯の欠損は主に発音の明瞭さ(滑舌)に影響を与えますが、言葉を思い出す能力(想起能力)には直接関係ありません。言葉を思い出す困難は、認知機能の低下(例:失語症、認知症)と関連が深いです。正しくは:歯の欠損と、発音が不明瞭になる状態選びやすい理由:歯がないと話すのが難しいという漠然としたイメージから、コミュニケーション全体の問題として捉えやすいですが、具体的にどのような問題が生じるかを正確に理解する必要があります。混同注意:構音障害(ディスアーサリア)と、失語症などに伴う語想起困難を混同している可能性があります。
- 2. 正解。耳垢が過剰に蓄積すると、外耳道を物理的に塞ぎ、音の伝達を妨げます。これにより、鼓膜に届く音のエネルギーが減少し、音が小さく、こもって聞こえるようになります。これは高齢者の伝音性難聴の一般的な原因であり、耳垢の除去によって改善が期待できます。
- 3. 言葉を思い出す能力の低下(想起能力の低下)は、記憶や言語機能の問題です。一方、相手の表情を読み取れないのは、非言語的コミュニケーションの理解や社会的認知能力の障害であり、直接的な因果関係は薄いです。両者は認知機能の広範な低下(例:認知症)の中で同時に見られることはありますが、個別の要因と状態としては対応しません。正しくは:言葉を思い出す能力の低下と、新しい情報を覚えられない状態選びやすい理由:認知症の高齢者では、言葉を思い出す困難も表情の理解困難も両方見られることが多いため、関連があるように感じて選んでしまうかもしれません。混同注意:記憶障害(想起能力の低下)と、非言語的コミュニケーションの理解障害や社会的認知障害を混同している可能性があります。
- 4. 語音弁別能力の低下は、聞いた音を正確に区別することが難しくなる聴覚の問題(聞き取りの問題)です。これにより、相手の言葉が聞き取りにくくなったり、聞き間違いが増えたりします。一方、「言葉を明瞭に話せない」のは構音障害であり、発声器官の機能低下(話し方の問題)によるものです。両者は異なる機能に関連しています。正しくは:音の聞き分け能力の低下と、相手の言葉を聞き間違える状態選びやすい理由:どちらも「言葉」や「音」に関連する問題であるため、一見すると関係があるように思えます。しかし、具体的に「何が」「どうなるか」を正確に理解することが重要です。混同注意:聴覚的な情報処理の問題(聞き取り)と、発話の運動機能の問題(話し方)を混同している可能性があります。
国試ポイント
高齢者のコミュニケーション障害の要因について、その原因と結果を正確に結びつけられるかを問う問題です。特に、身体的な問題、感覚器の問題、認知機能の問題など、様々な側面から理解しているかが試されます。可逆性の要因と不可逆性の要因を区別する視点も重要です。
混同注意
聴覚障害と構音障害、記憶障害と社会認知障害など、異なる種類のコミュニケーション障害やその原因を混同しやすい点が狙われています。それぞれの機能が具体的にどのような影響を与えるのかを区別して理解することが重要です。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合は、まず提示された『要因』がどの身体部位や機能に関連するかを特定し、次にその要因が『状態』として提示されている事柄と直接的かつ合理的に結びつくかを慎重に判断します。特に、可逆的な要因(耳垢、薬の副作用など)と不可逆的な要因(認知症の進行、高度な感音性難聴など)の区別も意識すると良いでしょう。また、「正しいのはどれか」という形式の場合、選択肢が非常に似ているように見えても、最も的確な組み合わせを選ぶ視点が必要です。
関連知識
高齢者の難聴(伝音性難聴、感音性難聴)、失語症の種類と症状、構音障害の原因と特徴、認知症に伴うコミュニケーション障害(記憶障害、見当識障害、実行機能障害、社会的認知障害など)。また、口腔機能の低下がコミュニケーションに与える影響(咀嚼、嚥下だけでなく、発音への影響)も関連知識として挙げられます。看護師としては、これらの原因に応じた適切なアセスメントと介入(例:補聴器の調整、筆談、環境調整、耳鼻科受診の促しなど)が求められます。