高濃度の酸素吸入によってCO2ナルコーシスを生じる危険性が最も高いのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第114回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
COPDの患者は、慢性的な換気障害により二酸化炭素(CO2)が体内に貯留しやすく、慢性的な高CO2血症に陥っていることが多いです。このような状態では、呼吸中枢はCO2濃度ではなく、低酸素血症を呼吸を促進する主要な刺激としています。高濃度の酸素を吸入すると、この低酸素刺激が失われ、呼吸中枢の活動が抑制されて呼吸回数や換気量が減少します。その結果、CO2の排出がさらに滞り、血液中のCO2濃度が急激に上昇してCO2ナルコーシス(意識障害、傾眠、昏睡など)を引き起こす危険性が高まります。
選択肢ごとの解説
- 1. 無気肺は肺の一部または全体が虚脱し、換気が行われなくなる状態ですが、通常、高濃度酸素吸入によって直接CO2ナルコーシスを引き起こす主要なリスク因子ではありません。正しくは:無気肺は肺の換気障害を伴いますが、CO2ナルコーシスは主に慢性的な高CO2血症があり、呼吸中枢が低酸素を呼吸駆動の主要な刺激としている患者に起こりやすいです。選びやすい理由:呼吸不全の一種であるため、CO2ナルコーシスと関連があるように感じるかもしれません。混同注意:呼吸不全の種類や原因と、CO2ナルコーシスの病態生理を混同する可能性があります。
- 2. 肺塞栓症は肺動脈が血栓などで閉塞し、ガス交換が障害される病態ですが、高濃度酸素吸入によってCO2ナルコーシスを生じる主要な危険因子ではありません。むしろ低酸素血症の改善のために酸素投与が必要となることが多いです。正しくは:肺塞栓症では、呼吸困難や低酸素血症を呈することが多く、酸素吸入は治療の一環となります。CO2ナルコーシスは肺塞栓症の直接的な合併症ではありません。選びやすい理由:重篤な呼吸循環器疾患であるため、酸素療法との関連性があるように見えるかもしれません。混同注意:呼吸困難や低酸素状態を呈する他の呼吸器疾患と、CO2ナルコーシスのリスクが高い疾患を混同する可能性があります。
- 3. 間質性肺炎は肺の間質組織に炎症や線維化が起こり、ガス交換効率が低下する疾患です。低酸素血症を呈しやすいですが、CO2ナルコーシスは通常起こりにくく、むしろ過換気によってCO2が低下することもあります。CO2ナルコーシスを誘発する主要なリスク因子ではありません。正しくは:間質性肺炎では、肺の拡散能障害により低酸素血症が生じやすく、酸素吸入は必要ですが、CO2貯留によるナルコーシスは一般的ではありません。選びやすい理由:慢性的な呼吸器疾患であり、酸素療法が必要な病態であるため、CO2ナルコーシスとの関連を疑うかもしれません。混同注意:慢性呼吸不全の原因となる疾患全般と、CO2ナルコーシスに特に関連が深い疾患を区別できない可能性があります。
- 4. 正解。慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者さんでは、慢性的な気道閉塞により肺胞換気が障害され、常に高CO2血症となっている場合があります。このような患者さんでは、呼吸中枢が低酸素状態を主な呼吸促進の刺激としているため、高濃度の酸素を吸入するとその刺激がなくなり、呼吸抑制が起こりやすくなります。結果としてCO2がさらに蓄積し、CO2ナルコーシスを発症する危険性が最も高くなります。
国試ポイント
COPD患者における酸素療法の注意点、特にCO2ナルコーシスの病態生理と関連する危険性を理解しているか。呼吸中枢の調節機序と、慢性呼吸不全患者における呼吸駆動の変化に関する知識が問われています。
混同注意
他の呼吸器疾患(間質性肺炎、肺結核など)でも酸素療法が必要となるケースはありますが、CO2ナルコーシスを引き起こすメカニズムが異なるため、混同しないように注意が必要です。特に、COPD以外の低酸素血症患者では、酸素投与によってCO2ナルコーシスが誘発されるリスクは低い、または異なる機序で発生します。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出題された場合、COPD以外の慢性呼吸不全患者、例えば神経筋疾患や胸郭変形による慢性呼吸不全患者での酸素療法の注意点や、急性増悪時の対応についても知識が問われる可能性があります。また、CO2ナルコーシスと低酸素血症の症状の鑑別、あるいは酸素投与時の具体的な看護ケアについても問われることが予想されます。
関連知識
CO2ナルコーシスの症状(意識レベル低下、頭痛、発汗など)、対処法(酸素流量の調整、呼吸補助など)、動脈血ガス分析の評価(PaCO2、PaO2、pH)、COPD患者の呼吸アセスメント、在宅酸素療法(HOT)における注意点。