Aさん(25歳、女性)は統合失調症と診断され、入院2か月が経過した。食事や水分の摂取、トイレ歩行は1人でできる。歯磨き、入浴への関心はあまりない。幻聴が聞こえると突然走り出し、壁に頭をぶつけている。日中はホールで過ごし、自分から他の患者と交流はしない。Aさんのセルフケアのアセスメントで優先度が高いのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
統合失調症患者のセルフケアアセスメントにおいて、幻聴による自傷行為(壁に頭をぶつける)は生命の危険に直結するため、安全を保つ能力の評価と介入が最も優先されます。他のセルフケア項目よりも緊急性が高いです。
選択肢ごとの解説
- 1. 排泄は自力で可能と記載されており、緊急性や優先度は低い。他の問題に比べて生命維持への直接的な影響が低い。正しくは:排泄に介助が必要であったり、排泄行動に異常が見られる場合に優先度は高まるが、本症例では当てはまらない。選びやすい理由:基本的セルフケアの一つであり、重要であるため。混同注意:セルフケアの基本的項目であるという点。
- 2. 歯磨きや入浴への関心の低さは個人衛生の問題であり、改善が必要な項目ではあるが、自傷行為の危険性と比較すると優先度は低い。正しくは:個人衛生は生活の質に関わる重要な項目であり、次に介入すべきセルフケア項目の一つである。選びやすい理由:問題文に具体的に記述されており、介入しやすい問題に見えるため。混同注意:セルフケア項目全体の中で、明らかな問題として提示されている点。
- 3. 正解。幻聴が聞こえると急に走り出して壁に頭をぶつけるという行動は、自傷行為であり、生命の危険に直結する。そのため、安全を保つ能力のアセスメントとそれに基づく介入が最も優先されるべきである。選びやすい理由:患者の命に関わる重大な問題であり、看護師として最優先で対応すべき事項であるため。混同注意:他のセルフケア項目も重要であるため、それらの重要性とのバランス。
- 4. 日中はホールで過ごしているものの、活動と休息のバランスに具体的な異常(例:不眠、過活動)は記載されておらず、自傷行為のリスクと比較すると優先度は低い。正しくは:不眠や過活動、倦怠感などが示唆される場合に優先度が上がる。選びやすい理由:精神疾患患者においてよく見られる問題であり、セルフケアの重要な側面であるため。混同注意:精神症状が活動と休息のバランスに影響を与えるという一般的な知識。
- 5. 他の患者との積極的な交流が見られないことから、孤独と付き合いのバランスに問題はあるが、自傷行為の危険性と比較すると優先度は低い。正しくは:社会交流の促進は退院後の生活の質や再発予防に重要であり、安全確保の後に取り組むべき課題である。選びやすい理由:問題文に具体的に記述されており、精神疾患患者によく見られる問題であるため。混同注意:精神疾患患者の社会生活における重要な課題であるという点。
国試ポイント
精神疾患患者のセルフケアアセスメントでは、生命の危険や重篤な合併症に繋がるリスクが最も優先されることを理解する。
混同注意
セルフケアの他の側面(個人衛生や社会交流など)も重要ですが、自傷行為のリスクがある場合は、それらが満たされていても安全確保が最優先される点で混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
患者の言動の中に、自己または他害のリスクを示唆する情報(例: 幻覚妄想内容、衝動性、暴力行為の既往、自殺企図)があれば、安全を保つ能力を最優先項目として判断する。
関連知識
精神看護における危機介入の原則、統合失調症の陽性症状(幻聴)による行動変容と看護の対応、患者の安全確保に関する倫理的・法的側面。