薬物血中濃度モニタリング〈TDM〉の実施が必要な薬物はどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・4番
解説
ジギタリスは治療域が狭く、中毒域が治療域に近いため、有効性と安全性のバランスを保つには血中濃度モニタリングが不可欠です。炭酸リチウムも治療域が非常に狭く、少量でも中毒症状が現れるリスクがあるため、血中濃度を厳密に管理する必要があります。
選択肢ごとの解説
- 1. ヘパリンは主に活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)などの凝固時間で薬効をモニタリングするため、TDMは通常行われない。正しくは:ヘパリンの薬効モニタリングにはAPTTが用いられる。選びやすい理由:ヘパリンは出血のリスクがあり、用量調整が必要な薬剤であるため、TDMが必要と誤解しやすい。混同注意:血中濃度と凝固能のモニタリングの違い。
- 2. インスリンは血糖値で薬効をモニタリングし、TDMは通常行われない。自己血糖測定(SMBG)で調整される。正しくは:インスリンの薬効モニタリングには血糖値が用いられる。選びやすい理由:血糖値の変動が大きく、用量調整が頻繁に必要な薬剤であるため、TDMが必要と誤解しやすい。混同注意:薬物の効果と血中濃度モニタリングの違い。
- 3. 正解。ジギタリス(ジゴキシン)は治療域が狭く、有効血中濃度と中毒血中濃度が近接しているため、TDMによる血中濃度管理が重要である。選びやすい理由:治療域が狭い薬剤として認識されており、正しい選択肢として選びやすい。混同注意:TDMが必要な他の循環器系薬剤。
- 4. 正解。炭酸リチウムは治療域が非常に狭く、中毒性が高いため、TDMによる血中濃度モニタリングが必須であり、少量でも中毒症状が現れるリスクがある。選びやすい理由:精神科領域の薬剤で治療域が狭いものとして有名であり、正しい選択肢として選びやすい。混同注意:TDMが必要な他の精神科系薬剤。
- 5. ニトログリセリンは主として血圧や胸痛の改善といった臨床症状で効果をモニタリングし、TDMは通常行われない。正しくは:ニトログリセリンの薬効モニタリングには臨床症状(胸痛の改善、血圧など)が用いられる。選びやすい理由:血圧変動が大きい薬剤であり、用量調整が必要なため、TDMが必要と誤解しやすい。混同注意:薬物の効果と血中濃度モニタリングの違い。
国試ポイント
TDMが推奨される薬剤は、治療域が狭い、個体間変動が大きい、重篤な副作用がある、薬効と血中濃度が相関するといった特徴を持つことを覚える。
混同注意
TDMの対象薬剤と、単に効果を評価するバイオマーカーや臨床指標を混同しない。TDMは血中濃度を測定し、その値に基づいて投与量や投与間隔を調整することを指す。
次に同じ論点が出たら
今後TDMに関する問題が出題された場合は、各薬剤の治療域の広さ、個体差の有無、重篤な副作用の有無、血中濃度と薬効の相関関係に注目して判断する。
関連知識
TDMの目的は、薬効の最適化、副作用の発現防止、アドヒアランスの確認などである。TDMが必須ではないが、適宜実施されることもある薬剤(例:フェニトイン、バンコマイシン)もあわせて学習する。