病院の医療安全管理者が行う与薬の事故防止対策で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第115回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
医療安全管理者の役割は、個人の責任追及ではなく、医療事故の根本原因を究明し、組織的なシステム改善を図ることで再発を防止することにあります。与薬の業務プロセス全体を見直すことは、エラーが生じにくい仕組みを構築するための最も有効な手段の一つです。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。医療安全管理者は、事故防止のために組織全体のシステムやプロセスに目を向け、問題点を特定し改善することが求められます。与薬の業務プロセスを見直すことは、ヒューマンエラーが発生しにくい環境を構築し、再発防止に繋がる根本的な対策となります。選びやすい理由:一見すると事務的な作業に見えるが、医療安全の根幹をなす対策である。混同注意:個々の職員の注意喚起や、マニュアル作成と混同されることがある。
- 2. 事故の責任を追及することは、個人の処罰を目的とし、組織全体のシステム改善には繋がりません。むしろ、職員が事故を報告しにくくなる「報告文化の阻害」を引き起こし、潜在的なリスクの発見を遅らせる可能性があります。医療安全は、個人を責めるのではなく、システム改善を通じて再発防止を図るという考え方が基本です。正しくは:責任追及ではなく、事故の根本原因を分析し、システム上の欠陥を改善するための取り組みを行う。選びやすい理由:事故を起こした個人が悪い、という直感的な考えから選んでしまいがち。混同注意:組織における説明責任と、個人の責任追及を混同することがある。
- 3. 病棟ごとに独自の与薬マニュアルを作成すると、病院全体での基準や手順にばらつきが生じ、医療の均質性や安全性が損なわれる恐れがあります。病院全体で統一された標準的なマニュアルを作成し、全職員がそれに従って業務を行うことが重要です。正しくは:病院全体で統一された標準的な与薬マニュアルを作成し、全職員に周知徹底する。選びやすい理由:マニュアル作成自体は良いことだと捉えがちだが、その方法が適切でない。混同注意:マニュアルがあることの重要性は理解できるが、その標準化の必要性を見落としがち。
- 4. 患者の個人情報を病院内で不必要に共有することは、個人情報保護の観点から不適切です。事故の再発防止に必要な情報(例えば、事故の内容、原因分析、対策など)は共有されるべきですが、患者の個人情報は匿名化したり、限定的な関係者のみで共有したりするなど、適切な配慮が必要です。正しくは:事故に関する情報は個人が特定できないように匿名化し、再発防止策の検討に必要な範囲で共有する。選びやすい理由:事故防止のためには情報共有が大切、という考えが先行してしまう。混同注意:情報共有の重要性と個人情報保護の重要性を混同することがある。
国試ポイント
医療安全におけるシステムアプローチと根本原因分析(RCA)の考え方を理解しているか、また個人の責任追及ではなく組織全体の改善に焦点を当てる重要性を把握しているかが問われます。
混同注意
医療安全活動は、個々の注意喚起や研修も重要ですが、根本的な解決策としては業務プロセスの改善やシステム変更が優先されます。各選択肢の「行為」が良いことか悪いことかではなく、「医療安全管理者として最も適切か」という視点で判断する必要があります。
次に同じ論点が出たら
医療安全管理者が行う具体的な業務改善策(例:ダブルチェックの標準化、調剤システムの導入、教育プログラムの策定)を検討できる。
関連知識
ヒューマンエラーの考え方(スイスチーズモデル)、報告文化の重要性、医療事故調査制度、医療安全推進体制。