骨格筋の細胞膜には()に対する受容体がある。自己抗体がこの受容体の働きを阻害すると骨格筋は収縮できなくなる。()に入る神経伝達物質として正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
骨格筋の収縮は、運動神経末端から放出されるアセチルコリンが、筋細胞膜に存在するニコチン性アセチルコリン受容体に結合することによって開始されます。この受容体の機能が自己抗体によって阻害される疾患として重症筋無力症があり、筋力低下を特徴とします。したがって、骨格筋の収縮に直接関わる神経伝達物質はアセチルコリンです。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。骨格筋の筋線維膜(終板)にはニコチン性アセチルコリン受容体が存在し、運動神経終末から放出されたアセチルコリンがこの受容体に結合することで筋細胞が興奮し、収縮が起こります。重症筋無力症ではこの受容体に対する自己抗体が産生され、アセチルコリンの結合を阻害するため、筋力低下が生じます。
- 2. アドレナリンは主に副腎髄質から分泌されるホルモンであり、または一部の神経終末から放出される神経伝達物質です。心臓や気管支、血管などに作用し、骨格筋の直接的な収縮には関与しません。正しくは:骨格筋の収縮ではなく、心拍数増加や気管支拡張、血管収縮(一部拡張)などの交感神経作用を引き起こします。選びやすい理由:「筋肉」という言葉から、運動や力強さのイメージで関連付けてしまうかもしれませんが、骨格筋の直接的な収縮制御とは異なります。混同注意:ノルアドレナリンとの混同や、運動時に分泌されるホルモンとしての役割と混同しやすいかもしれません。
- 3. ドパミンは主に中枢神経系で作用する神経伝達物質で、運動調節、報酬系、情動、認知機能などに関与します。骨格筋の直接的な収縮には関わりません。正しくは:主に脳内の神経回路において、運動機能、気分、意欲などの調整に関与します。選びやすい理由:中枢神経系における運動調節という点で、間接的に運動と関連があるため、選択肢として魅力的かもしれませんが、骨格筋細胞膜の受容体に直接作用するものではありません。混同注意:パーキンソン病との関連で運動機能と結びつきやすいですが、骨格筋の直接的な興奮・収縮とは異なります。
- 4. ノルアドレナリンは交感神経系の神経伝達物質であり、主に心臓や血管、消化管などに作用します。骨格筋の直接的な収縮には関与しません。一部中枢神経系でも覚醒などに関わります。正しくは:交感神経の活動を通じて心拍数や血圧の調整、覚醒状態の維持などに関わります。選びやすい理由:アドレナリンと同様に、ストレス応答や身体活動と関連があるため、骨格筋に作用するのではないかと誤解する可能性があります。混同注意:アドレナリンとの機能的類似性や、中枢神経系での役割と混同しやすいです。
国試ポイント
神経伝達物質とそれが作用する主要な臓器・組織、およびその生理作用について正確に理解しているかが問われます。特に、骨格筋の収縮メカニズムにおけるアセチルコリンの役割は、重症筋無力症などの疾患と関連付けて頻繁に出題される基本的な知識です。
混同注意
アドレナリンやノルアドレナリンといった交感神経系の神経伝達物質、または中枢神経系のドパミンと混同しやすいです。それぞれの作用部位と機能の違いを明確に理解することが重要です。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、アセチルコリン以外の神経伝達物質(例:ドパミン、セロトニン、GABA)が関わる疾患(例:パーキンソン病、うつ病、てんかん)や、それらの受容体の種類(例:ムスカリン性受容体)について問われる可能性があります。また、自律神経系におけるアセチルコリンの役割も重要です。
関連知識
アセチルコリンの作用部位と受容体(ニコチン性、ムスカリン性)の違い。重症筋無力症の病態生理、症状、診断、治療。神経筋接合部の構造と機能。他の主要な神経伝達物質(GABA、グルタミン酸、セロトニンなど)の作用部位と機能。