健常な女子(15歳)が野外のコンサートで興奮し、頻呼吸を起こして倒れた。このときの女子の体内の状態で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
興奮による過呼吸では、肺からの二酸化炭素排出が過剰になり、血液中の二酸化炭素分圧(PaCO2)が低下します。これにより、血液がアルカリ性に傾く呼吸性アルカローシスが生じます。アルカローシスは血管収縮を引き起こし、脳血流が減少することで意識障害やめまい、手足のしびれなどの症状が出現することがあります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。過呼吸(頻呼吸)により、体外へ排出される二酸化炭素の量が過剰になります。これにより血液中の二酸化炭素分圧が低下し、血液がアルカリ性に傾く呼吸性アルカローシスと呼ばれる状態になります。
- 2. 過呼吸は、直接的にヘマトクリット値を上昇させる要因ではありません。ヘマトクリット値の上昇は、脱水や多血症など、血液の濃縮や赤血球量の増加によって起こります。正しくは:ヘマトクリットは過呼吸と直接的な関係はないか、または変化しないことが多い。選びやすい理由:熱中症など、屋外活動による脱水状態を連想し、血液が濃縮されると誤解する可能性があります。混同注意:脱水による血液濃縮と、過呼吸によるガス交換異常を混同しやすい。
- 3. 動脈血酸素飽和度(SaO2)は、ヘモグロビンが酸素と結合している割合を示す指標であり、最大でも100%までしかありません。100%を超えることは生理学的にありえません。正しくは:動脈血酸素飽和度(SaO2)は通常100%に近い状態を維持するが、100%を超えることはない。選びやすい理由:過呼吸で酸素をたくさん取り込んでいるから、酸素が飽和状態を超えてしまうと誤解する可能性があります。混同注意:過剰な換気と、酸素が無限に体内に取り込まれるという誤解。
- 4. 頻呼吸(過呼吸)の状態では、肺から二酸化炭素が通常よりも多く排出されます。このため、血液中の動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)は基準値よりも低下します。PaCO2が高くなるのは、呼吸抑制などで二酸化炭素の排出が不十分な場合です。正しくは:動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)は基準値よりも低い。選びやすい理由:呼吸の問題だから、何かガスが異常に高くなるのではないかと考えたり、呼吸困難感をPaCO2上昇と結びつけたりする可能性があります。混同注意:呼吸性アシドーシス(PaCO2上昇)と呼吸性アルカローシス(PaCO2低下)の区別。呼吸が速い=呼吸が苦しい=CO2が溜まっている、と誤解する。
国試ポイント
過呼吸症候群の病態生理、特に呼吸性アルカローシスのメカニズムとそれに伴う身体変化について正しく理解しているかが問われています。血液ガス分析の基本的な理解も重要です。
混同注意
呼吸性アシドーシスとアルカローシスの原因(換気亢進か換気低下か)、代謝性アシドーシス・アルカローシスとの区別、そしてそれぞれの血液ガスデータ(pH, PaCO2, HCO3-)の変化を混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が問われた場合、過呼吸症候群の具体的な看護介入(ペーパーバック法など)や、合併する電解質異常(例:低カルシウム血症によるテタニー)について問われる可能性があります。また、他の原因による意識障害との鑑別も重要です。
関連知識
呼吸性アシドーシス、代謝性アシドーシス、代謝性アルカローシスそれぞれの原因と症状、血液ガス分析の基準値と読み方、アシドーシス・アルカローシスが体に与える影響(電解質バランス、神経症状など)。