脳出血の後遺症で左片麻痺と嚥下障害のある患者の家族に、食事介助の指導を行うときの説明で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
脳出血の後遺症による左片麻痺では、体幹の左側が不安定になりやすいため、左脇の下にクッションを挟むことで姿勢を安定させ、安全に食事を摂ることができます。嚥下障害がある場合は、適切な姿勢で食塊を形成し、安全に嚥下することが重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. こんにゃくは弾力があり、噛み砕きにくく、食塊形成が困難なため、嚥下障害のある患者には誤嚥のリスクを高める可能性があります。正しくは:嚥下障害のある患者には、ゼリー状やとろみをつけた食品、ペースト状の食品など、まとまりやすく飲み込みやすい食材を選ぶべきです。選びやすい理由:一般的な健康食としてこんにゃくが推奨されることがあるため、嚥下障害の有無を見落とすと選択肢として魅力的に映るかもしれません。混同注意:食物繊維が豊富でヘルシーというイメージから、嚥下障害患者にも良いと誤解してしまう可能性があります。
- 2. 正解。左片麻痺の患者は、体幹の安定性が悪く、特に麻痺側に傾きやすいため、左腋窩をクッションで支えることで体幹を安定させ、食事中の姿勢を保ちやすくなります。これにより、誤嚥のリスクを軽減できます。また、嚥下障害があるため、体を起こして食事を摂ることは基本です。正しくは:これは適切な指導です。選びやすい理由:麻痺側ではない右側を支えるべきでは、と考える人もいるかもしれませんが、麻痺側が支えられないと体幹が不安定になります。混同注意:「麻痺している側を支える」という点と、「体幹の安定」という点が結びつかないと、どちらの脇を支えるべきか迷うことがあります。
- 3. 左片麻痺の患者の場合、左側の口唇や舌の機能が低下している可能性があり、食物を左側に入れると咀嚼や食塊形成が困難になり、口腔内に残りやすく誤嚥のリスクが高まります。健側の右側に入れるのが適切です。正しくは:「口の右側(健側)に食べ物を入れるようにしましょう」と指導すべきです。選びやすい理由:片麻痺の側に関心がいき、そちらに配慮すべきと誤解してしまうかもしれません。混同注意:麻痺側が「動かないからこそ、そこに食べ物を置くことで意識が向く」と誤解したり、「健側は自分で使えるから、麻痺側を手伝う」と逆に考えてしまうことがあります。
- 4. 誤嚥は咳を伴うこともありますが、咳が出ない「不顕性誤嚥」も存在します。特に高齢者や神経疾患を持つ患者では、反射が低下しているため、誤嚥しても咳が出ないことが多く、非常に危険です。咳が出ないからといって誤嚥がないと判断するのは誤りです。正しくは:「飲み込み時に咳が出なくても、注意が必要です。声がガラガラになったり、発熱が見られる場合は不顕性誤嚥の可能性があります」と指導すべきです。選びやすい理由:一般的に「むせる=誤嚥」というイメージがあるため、咳が出なければ大丈夫だと考えがちです。混同注意:誤嚥の兆候として咳が有名であるため、咳がない=安全と短絡的に考えてしまいがちですが、不顕性誤嚥の存在を忘れてはいけません。
国試ポイント
脳血管疾患後の片麻痺と嚥下障害を持つ患者への食事介助において、安全な姿勢保持と誤嚥予防のための具体的な知識が問われています。特に、麻痺側と健側への対応、そして不顕性誤嚥の危険性に関する理解が重要です。
混同注意
麻痺側への配慮と、健側の活用に関する知識が混同しやすい。また、誤嚥の兆候としての咳の有無が、誤嚥の有無を直接的に示すものではないという点も、しばしば誤解されます。
次に同じ論点が出たら
この患者の介助において、嚥下機能の状態をさらに詳しく評価するための次の一歩は何か?(例:言語聴覚士へのコンサルテーション、嚥下造影検査の検討など)
関連知識
嚥下障害の評価法(VF/VE)、嚥下食の分類、誤嚥性肺炎の予防、シーティングの原則、片麻痺患者のポジショニング。