高齢者に術後の呼吸器合併症が発症しやすい理由で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
高齢者では加齢に伴い肺の弾性収縮力が低下し、胸郭の可動性も制限されるため、最大吸気量や最大呼気量が減少し、結果として肺活量が低下します。肺活量の低下は深呼吸や咳の能力を低下させ、気道分泌物の貯留を招きやすくなるため、肺炎や無気肺などの呼吸器系合併症のリスクを高めます。
選択肢ごとの解説
- 1. 高齢者では、肺の弾性収縮力の低下により、肺から空気を十分に吐き出せなくなるため、残気量はむしろ増加します。残気量の増加はガス交換効率を低下させますが、直接的に呼吸器系合併症のリスクを高める主要因とは言えません。正しくは:残気量が多くなること選びやすい理由:残気量も高齢者で変化するため、一見すると正しそうに見えるが、その変化の方向と直接的な合併症への影響が誤っているため。混同注意:肺活量と残気量の生理的変化の方向性や、それぞれの呼吸機能への影響。
- 2. 正解。高齢者では肺の弾性低下、胸郭の可動性低下、呼吸筋力低下により、肺活量(最大吸気後の最大呼気量)が低下します。これにより深呼吸や効果的な咳ができなくなり、気道分泌物の貯留や無気肺、肺炎のリスクが増大するため、術後合併症を起こしやすくなります。選びやすい理由:高齢者の呼吸器系生理学的変化とその臨床的意義を正しく理解していれば、この選択肢が最も適切であると判断できるため。
- 3. 嚥下反射の低下は高齢者でよく見られ、誤嚥性肺炎のリスクを高めますが、これは主に消化器系の合併症(誤嚥)による呼吸器合併症であり、純粋な『呼吸器系の合併症』の直接的な理由とはやや異なります。問題文は『呼吸器系の合併症を起こしやすいのは、どのような理由によるか』と、より直接的な呼吸器機能の変化を問うていると解釈されるため。正しくは:嚥下反射が起こりにくくなること(これは誤嚥性肺炎のリスクを高めるが、純粋な呼吸器機能の低下とは異なる側面)選びやすい理由:嚥下反射低下が誤嚥性肺炎につながるという知識から、呼吸器合併症と結びつけやすい。しかし、問題の問い方からすると直接的な呼吸器機能の変化ではない。混同注意:呼吸器系の合併症と、誤嚥などによる二次的な呼吸器合併症。
- 4. 高齢者では、気道の線毛細胞の機能が低下し、線毛の運動能力も低下します。これにより気道内の分泌物や異物の排出能力が低下し、感染リスクが増大します。したがって、『活発になる』という記述は誤りです。正しくは:気道の線毛運動が低下すること選びやすい理由:気道の防御機能の低下が高齢者の問題点であるという知識から、何らかの異常があると考え選択しやすいが、その方向性が逆であるため。混同注意:線毛運動の活性化と低下、それぞれの臨床的意義。
国試ポイント
高齢者の呼吸器系の生理的変化が、術後の呼吸器合併症リスクにどう影響するかを理解する。特に肺活量と残気量の変化、およびそれらが換気機能と喀痰排出能力に与える影響を押さえる。
混同注意
残気量の増加と肺活量の低下は混同しやすいが、それぞれ異なる機序で呼吸機能に影響を与える。残気量は増えるが、それはガス交換能力の低下と関連し、肺活量の低下は換気能力の低下と関連する。
次に同じ論点が出たら
高齢者の呼吸器合併症に関する問題では、換気能力や喀痰排出能力に直接影響する生理的変化(肺活量、呼吸筋力、咳反射など)に注目して判断する。
関連知識
高齢者では肺の弾性低下、胸郭の硬化、呼吸筋力の低下により、努力肺活量が減少する。また、換気血流比不均等も進行し、動脈血酸素分圧(PaO2)は低下傾向にある。さらに、気道の防御機能も低下するため、感染に対する感受性が高まる。