老年期のうつ病に特徴的な症状はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
老年期のうつ病は、若年期のうつ病と異なり、典型的な抑うつ気分や精神運動抑制が目立たないことがあります。その代わりに、身体症状の訴えが多くなり、特に心気症状(身体の病気を過度に心配したり、身体の不調を強く訴えたりする)が前面に出ることが特徴です。これは「仮面うつ病」や「身体仮面うつ病」とも呼ばれ、気分障害としての診断が遅れる原因となることがあります。また、認知機能の低下(仮性認知症)を伴うこともあります。
選択肢ごとの解説
- 1. 幻覚は統合失調症や認知症(レビー小体型認知症など)で見られる症状であり、老年期のうつ病に特徴的ではありません。うつ病では稀に妄想を伴うことがありますが、幻覚は一般的ではありません。正しくは:幻覚は老年期のうつ病に特徴的な症状ではありません。選びやすい理由:重度の精神疾患のイメージと結びつきやすいため、選択肢として誤って選ばれる可能性があります。混同注意:妄想と幻覚を混同している場合、誤って選択する可能性があります。幻覚は知覚の異常、妄想は思考内容の異常です。
- 2. 感情鈍麻は感情表現の低下や希薄化を指し、統合失調症の陰性症状や重度の認知症で見られることがあります。うつ病では、感情の落ち込みや興味の喪失が見られますが、感情そのものが鈍くなる感情鈍麻とは異なります。正しくは:感情鈍麻は老年期のうつ病に特徴的な症状ではありません。選びやすい理由:うつ病における感情の抑制や表出の困難さを感情鈍麻と誤解する可能性があります。混同注意:うつ病で見られる「感情の平板化」や「快感の喪失」と感情鈍麻を混同しやすいですが、感情鈍麻はより広範で持続的な感情の希薄さを指します。
- 3. 正解。老年期のうつ病では、身体の不調を過度に訴えたり、病気を強く心配したりする心気症状が前面に出ることが特徴的です。これは、非定型うつ病の一種とも考えられ、気分症状よりも身体症状が目立つことがあります。正しくは:心気症状は老年期のうつ病に特徴的な症状の一つです。選びやすい理由:身体症状が主であるため、うつ病ではないと誤解されることもありますが、高齢者のうつ病ではしばしば見られます。混同注意:一般的なうつ病のイメージである気分の落ち込みや意欲低下と異なるため、判断に迷うかもしれません。しかし、高齢者では身体愁訴として現れやすいことが重要です。
- 4. 着衣失行は、衣服を正しく着ることができない状態を指し、頭頂葉の損傷などによって引き起こされる認知症(特にアルツハイマー型認知症)でよく見られる症状です。うつ病では直接的に着衣失行は現れません。正しくは:着衣失行は老年期のうつ病に特徴的な症状ではありません。選びやすい理由:高齢者の症状として認知症と混同されやすいですが、着衣失行はうつ病に直接関連する症状ではありません。混同注意:老年期のうつ病と認知症の鑑別が難しいケースがあるため、認知症の症状をうつ病の症状と誤って解釈する可能性があります。着衣失行は失行症の一種です。
国試ポイント
老年期のうつ病の非定型的な症状、特に身体症状として現れる特徴を理解しているかが問われています。若年期のうつ病とは異なる高齢者特有の病態把握が重要です。
混同注意
老年期のうつ病は、認知症(特に初期)と症状が類似することがあり、鑑別が非常に重要です。両者ともに意欲低下、活動性低下、集中力低下などが見られます。しかし、うつ病の場合は病識があることが多く、認知症では病識が乏しいことが多いという違いがあります。また、心気症状はうつ病に特徴的ですが、認知症の初期にも漠然とした身体の不調を訴えることはあります。
次に同じ論点が出たら
この患者が心気症状を訴えている場合、看護師としてどのようなアセスメントを行い、どのような介入を検討すべきか。
関連知識
仮面うつ病、仮性認知症、非定型うつ病、老年期精神疾患の鑑別診断、認知症の種類(アルツハイマー型、レビー小体型など)とそれぞれの症状。