発育と発達に遅れのない生後6か月の男児。BCG接種の翌日に接種部位が赤く腫れ次第に増悪して膿がみられたため、母親は接種後4日目に医療機関に電話で相談し、看護師が対応した。児に発熱はなく、哺乳や機嫌は良好である。このときの看護師の説明で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第111回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
BCG接種後、通常であれば数週間から数か月かけて接種部位に特有の反応(紅斑、硬結、膿疱形成)が現れます。しかし、本事例では接種翌日に発赤、腫脹、膿という異常な反応がみられており、これは通常のBCG反応とは異なります。特に、早期の膿瘍形成は、化膿性リンパ節炎やその他の感染症の可能性も否定できないため、発熱や機嫌の良し悪しにかかわらず、速やかに医師の診察を受ける必要があります。医療機関で適切に評価され、必要に応じて診断・治療が行われるべきです。
選択肢ごとの解説
- 1. BCG接種後の一般的な反応は、接種後10日頃から赤いポツポツ(紅斑)、硬いしこり(硬結)、小さな水ぶくれ(膿疱)が現れ、数週から数か月かけてカサブタになり治癒するものです。接種翌日に膿を伴う発赤・腫脹は、一般的な反応とは異なります。正しくは:「接種翌日の膿を伴う発赤・腫脹は、BCG接種後の一般的な反応とは異なります。」選びやすい理由:BCG接種部位の反応は多岐にわたるため、異常反応への知識が不十分だと、「通常の反応かもしれない」と判断してしまう可能性があります。混同注意:BCGの正常な反応(接種後10日以降の紅斑、硬結、膿疱形成)と異常反応(早期の重度な発赤、腫脹、膿瘍形成、リンパ節腫脹など)の区別。
- 2. 正解。BCG接種後に早期(接種翌日)から膿を伴うような局所の炎症反応は、通常の経過とは異なり、化膿性リンパ節炎や、非常に稀ではあるものの骨髄炎などの重篤な副反応の可能性を否定できません。また、非結核性抗酸菌感染症などの鑑別も必要になるため、迅速な医師による診察と適切な診断・処置が不可欠です。
- 3. 接種翌日から膿を伴う発赤・腫脹という症状は、一般的なBCGの反応と異なり、より詳しい評価と治療が必要な可能性があります。1週間も待つことは、適切な治療の開始が遅れることになり、症状悪化や合併症のリスクを高める可能性があります。正しくは:「すぐに医療機関を受診してください。早期の診察が必要です。」選びやすい理由:すぐに受診が必要なほどではない、と安易に判断してしまうと、経過観察を指示しがちです。特に、発熱がなく機嫌が良いという情報から、緊急性が低いと誤解する可能性があります。混同注意:軽微な局所反応に対する経過観察の指示と、異常な局所反応に対する受診勧奨の区別。
- 4. 乳児の皮膚はデリケートであり、アルコール消毒は刺激が強く、かえって皮膚炎を悪化させたり、他の皮膚トラブルを引き起こしたりする可能性があります。また、BCG接種後の異常反応に対して、自宅でのアルコール消毒は適切な対処法ではありません。原因菌の同定や適切な処置が必要な場合があるため、医療機関での診察が優先されます。正しくは:「患部を清潔に保ち、刺激を与えないようにしてください。まずは医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。」選びやすい理由:消毒は「清潔にする」という一般的な感覚と結びつきやすいため、何か対処しなければという気持ちから選択肢として魅力的に映るかもしれません。混同注意:傷口の基本的な手当(消毒)と、ワクチン接種後の異常反応に対する専門的処置の必要性の区別。
国試ポイント
BCG接種後の正常な反応と異常な反応(特に早期の膿瘍形成)を識別し、異常時の適切な看護師の対応(受診勧奨)が問われています。緊急性の判断能力が重要です。
混同注意
BCG接種後の正常な皮膚反応(発赤、硬結、膿疱、瘢痕形成)の時期と、早期に発現する化膿性リンパ節炎や皮下膿瘍などの異常反応との区別。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出た場合は、まず『症状の発生時期』と『症状の内容(通常の反応と比較して逸脱しているか)』に注目します。特に早期(数日以内)の重度な炎症反応や膿瘍形成は、緊急性が高いと判断し、速やかな受診勧奨が原則となります。発熱の有無や全身状態だけでなく、局所症状の重症度も判断材料とします。
関連知識
BCG接種後の副反応として、化膿性リンパ節炎、骨髄炎、全身播種性BCG感染症などがあります。特にリンパ節炎は数%の頻度で報告されており、早期に膿瘍を形成することもあります。また、非結核性抗酸菌感染症との鑑別も重要です。ワクチンの種類とそれによって起こりうる副反応、およびその初期対応について理解している必要があります。