在胎38週4日、骨盤位のため予定帝王切開術で出生した男児。看護師はインファントラジアントウォーマー下で児の全身を観察した。羊水混濁はなかった。身体所見:身長49.0 cm、体重2,900 g、頭囲33.0 cm、胸囲32.0 cm。直腸温37.8°C、呼吸数55/分、心拍数150/分。大泉門は平坦、骨重積なし、産瘤なし、頭血腫なし。胎脂は腋窩にあり。筋緊張は強く、四肢は屈曲位。皮膚は厚い。うぶ毛は背中の1/2にあり。耳介は硬い。精巣は両側ともに完全に下降。外表奇形はなし。検査所見:Apgar〈アプガー〉スコアは1分後9点、5分後10点。臍帯動脈血pH 7.30。 日齢7。児の体重は2,930 g(前日より30 g増加)。バイタルサインは、腋窩温37.0°C、呼吸数50/分、心拍数140/分。大泉門は平坦。排尿7回/日、排便10回/日の普通便である。経皮的黄疸計による測定値12.5 mg/dL。児の母親は母乳育児を希望している。母乳分泌量は良好で乳房トラブルはない。直接授乳を1日12回しており、搾乳や人工乳は哺乳していない。母親は看護師に「体重は生まれたときから30 gしか増えていませんが、大丈夫でしょうか」と話した。母親への対応で最も適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第107回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
新生児の体重は、生後3〜5日頃に生理的体重減少(出生体重の5〜10%程度)が見られ、その後日齢7〜10日頃までには出生体重に戻り、その後は増加していきます。設問の児は日齢7で前日より30g増加しており、排尿・排便回数も十分、活気も良好(バイタルサイン正常)であるため、母乳が十分に飲めていると判断できます。黄疸値も日齢7としては生理的範囲内(光線療法適応基準以下)であり、特別な介入は不要です。母親は「体重は生まれたときから30gしか増えていませんが、大丈夫でしょうか」と不安を訴えているため、現状で問題ないことを伝え、安心させ、現在の直接授乳を継続するよう励ますことが最も適切な対応です。
選択肢ごとの解説
- 1. 設問の状況から、母親の母乳分泌は「良好」と記載されており、乳房トラブルもないため、乳房を温める必要性はありません。これは母乳分泌促進や乳腺炎予防、乳房緊満時などの対応です。正しくは:乳房を温めるのは、母乳の出が悪い、乳房が張る、乳腺炎の兆候がある場合などに検討されます。選びやすい理由:母乳育児への介入として一般的な選択肢ではあるため、深く考えずに選びやすい可能性があります。混同注意:母乳分泌に関する一般的なケアと、個別の状況に応じた具体的なケアを混同しやすいです。
- 2. 設問の赤ちゃんは、日齢7で前日より体重が30g増加しており、排泄回数も十分で活気も良好(バイタルサインから判断)です。これらの情報は、十分な哺乳ができていることを示唆しており、直ちに哺乳量を測定する必要性は低いと考えられます。また、新生児の体重減少は生後3〜5日頃に生理的現象として見られますが、日齢7で増加に転じているなら問題ありません。正しくは:哺乳量の測定は、体重増加が思わしくない場合や、排泄回数が少ない場合など、哺乳不足が疑われる際に行われます。選びやすい理由:体重増加が少ないという母親の訴えに対して、具体的な数値で確認しようとする行動は一見適切に見えるため、選択しやすいです。混同注意:生理的体重減少や母乳の十分性の判断基準と、哺乳量測定の必要性を混同しやすいです。
- 3. 赤ちゃんは体重が増加に転じており、排泄も良好、母親の母乳分泌も良好で、直接授乳を1日12回行っています。この状況でさらに搾乳を追加することは、過度な介入となり、母子の負担を増やす可能性があります。また、過剰な人工乳の追加は、母乳育児の確立を妨げることもあります。正しくは:搾乳の追加は、赤ちゃんが十分に母乳を飲めていない場合や、母親が乳房の張りで苦しんでいる場合、あるいは一時的に母親が赤ちゃんから離れる必要がある場合などに検討されます。選びやすい理由:体重増加を促進する手段として考えがちですが、現在の状況で本当に必要かどうかの判断が重要です。混同注意:母乳育児の促進と、不必要な栄養補充の区別を混同しやすいです。
- 4. 正解。赤ちゃんは生後7日目で前日より体重が増加しており、黄疸は生理的範囲内(日齢7の経皮黄疸12.5mg/dLは光線療法の基準値以下)。排泄回数も十分で、バイタルサインも安定しています。母親の母乳分泌も良好で、1日12回の直接授乳が行われており、哺乳回数も適切です。新生児の体重は一度減少した後、生後7日頃までには出生時体重に戻り、その後増加していくのが一般的です。日齢7で増加に転じているのであれば、順調な経過と判断できます。この情報から、現在の母乳育児の進め方で問題ないことを母親に伝え、安心させることが最も重要です。
国試ポイント
この問題は、新生児の生理的変化(体重減少とその後の回復、黄疸)、母乳育児の評価(哺乳の十分性、排泄、母親の母乳分泌状況)、および母親への心理的支援に関する知識を複合的に問うものです。特に、新生児期における体重の変化と、それが正常範囲内であるかを判断できるかがポイントになります。
混同注意
新生児の体重減少が生理的なものか、または哺乳不足によるものかの判断。正常な黄疸と治療が必要な黄疸の区別。母乳育児の確立に必要な介入と、過剰な介入の区別。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出た場合は、まず赤ちゃんの『日齢』と『体重変化の傾向(減少から増加への転換点)』、そして『排泄状況』や『活気(バイタルサイン)』から、哺乳の十分性を判断する。次に、母親の訴えがどのような不安に基づいているかを正確に把握し、それに対する最も適切な心理的・教育的支援を考える。
関連知識
新生児の生理的体重減少(出生体重の5〜10%減少、生後3〜5日頃にピーク、7〜10日で回復)。母乳育児が確立されている目安(1日8〜12回以上の授乳、排尿6回以上、排便3〜4回以上、体重増加)。新生児黄疸の生理的範囲と治療基準。