Aちゃん(11歳、女児)。眼瞼浮腫がみられたため、眼科を受診し治療を受けたが改善しなかった。その後、Aちゃんと母親が下腿の浮腫に気付き眼科の医師に相談したところ、特発性ネフローゼ症候群を疑われたため、小児科のある病院を紹介され受診した。 Aちゃんは、ステロイド治療の開始後10日で尿蛋白が陰性となり、浮腫等の症状が改善した。入院後3週、ステロイド薬の副作用(有害事象)として、満月様顔貌が出現している。他に明らかな副作用(有害事象)は出現していない。ステロイド薬の内服を続けながら退院することになった。Aちゃんの退院後の生活について指導する内容で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
ステロイド薬の副作用である満月様顔貌は、治療が継続している限り出現する可能性のある症状ですが、これによって薬の服用を中止してはなりません。自己判断での中止は、原疾患の再燃やステロイド離脱症候群といった重篤な問題を引き起こす可能性があるため、外見上の変化が気になっても医師の指示に従い服用を継続することが極めて重要です。看護師は、患者が副作用を理解し、不安なく治療を継続できるよう支援する責任があります。
選択肢ごとの解説
- 1. ステロイド治療中に日光を避ける必要性は一般的に低いですが、皮膚が薄くなるなどの副作用がある場合は、日焼けによる皮膚の損傷を避けるために注意が必要なこともあります。しかし、これは主な指導内容ではありません。正しくは:日光を避けることは、ステロイドの主要な副作用に対する指導内容ではありません。選びやすい理由:ステロイドにより皮膚が脆弱になることがあるため、日光による皮膚トラブルを心配するかもしれない。混同注意:膠原病などの疾患では日光過敏があるが、ステロイドの直接的な副作用ではない。
- 2. 体重測定は浮腫や体液量の変化を早期に発見するために重要ですが、ステロイド治療中であっても「毎日」という頻度が常に必須とは限りません。特に症状が安定している退院後には、医師や看護師の指示に従った頻度で行うべきです。退院時の指導としては、浮腫の有無の確認や体重増加の目安を伝えることがより適切です。正しくは:体重測定は重要ですが、医師や看護師の指示する頻度で、浮腫や体液貯留の徴候に注意しながら行うべきです。特に退院後は症状の安定度に合わせて頻度を調整します。選びやすい理由:浮腫の再発やステロイドによる体重増加が心配されるため、毎日測定することが有効だと感じるかもしれない。混同注意:心不全や腎不全などで体液管理が厳密な場合に毎日体重測定を行うが、ステロイド治療単独で必ずしも毎日必要ではない。
- 3. ステロイド治療によって免疫力が低下するため感染症に注意が必要ですが、症状が改善し病状が安定していれば、医師の許可があれば学校生活を再開できます。1ヶ月間一律に休む必要はありません。個々の状態に合わせて判断されます。正しくは:免疫抑制状態であっても、病状が安定し医師の許可があれば学校生活を再開できます。一律に長期間休む必要はありません。選びやすい理由:ステロイドによる免疫抑制で感染症にかかりやすいため、集団生活を避けるべきだと考えるかもしれない。混同注意:急性期や免疫抑制が強い時期には集団生活を制限することがあるが、症状が改善し安定していれば段階的に社会生活に戻ることが推奨される。
- 4. 入浴を制限する医学的な根拠は、特にありません。清潔を保つことは重要であり、全身状態が安定していれば入浴も可能です。ただし、皮膚が脆弱になっている場合は、強くこすらないなど入浴方法に注意が必要です。正しくは:全身状態が安定していれば入浴も可能です。皮膚の脆弱性がある場合は、入浴方法に注意が必要です。選びやすい理由:免疫抑制状態で感染症が心配なため、衛生管理としてシャワーのみに限定すべきだと考えるかもしれない。混同注意:中心静脈カテーテル留置中や大きな傷がある場合など、特定の状況ではシャワー浴が推奨されるが、一般的なステロイド治療中の指導ではない。
- 5. 正解。満月様顔貌はステロイド治療の典型的な副作用の一つですが、治療を中断する理由にはなりません。自己判断で薬を中止すると、原疾患の悪化やステロイド離脱症候群のリスクがあるため、医師の指示通り服用を継続することが非常に重要です。外見上の変化であるため、患者の心理的ケアも重要ですが、服薬継続が最優先されます。正しくは:(正しい記述のため修正不要)選びやすい理由:外見の変化は患者にとって大きなストレスとなるため、薬の中止を検討したくなるかもしれない。混同注意:重篤な副作用であれば服薬中止を検討するが、満月様顔貌は主に外見上の変化であり、治療継続の判断は医師が行う。
国試ポイント
ステロイド薬の主要な副作用とその対応、特に自己判断での服薬中断の危険性について問う問題です。患者指導においては、副作用が起きても治療継続が必要な場合と、中止や減量が必要な場合とを区別して指導できる知識が求められます。外見上の副作用に対する患者の心理的ケアの重要性も理解していることが重要です。
混同注意
ステロイドの副作用に対する一般的な対処法と、薬を中断してはいけない副作用の区別が曖昧だと誤った選択肢を選びやすい。
次に同じ論点が出たら
ステロイド治療中の患者指導において、どのような副作用であれば薬の減量や中止を検討する必要があるか、緊急性の高い副作用とそうでない副作用を見極めることができるか。
関連知識
ステロイド離脱症候群、副腎皮質ステロイド薬の主な副作用(消化性潰瘍、骨粗鬆症、糖尿病、易感染性、精神症状、高血圧、ムーンフェイス、中心性肥満など)、小児ネフローゼ症候群の治療と退院指導。