Aさん(28歳、男性)。海外出張で訪れたアフリカ地域から帰国後1週に39℃の発熱と解熱を繰り返すため外来を受診した。腹部症状は特にない。予測される感染症はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第109回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
マラリアは熱帯・亜熱帯地域に広く分布し、特にアフリカでは年間多くの感染者が出ています。潜伏期間は通常1~数週間で、周期的な発熱と解熱を繰り返す「周期熱」が特徴的です。その他の症状として、頭痛、関節痛、倦怠感などが挙げられますが、消化器症状が前面に出ることは少ないです。患者の渡航歴、発熱のパターン(週に39℃の発熱と解熱を繰り返す)、および腹部症状がないという情報から、マラリアが最も強く疑われます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。マラリアは熱帯・亜熱帯地域、特にアフリカでの流行が見られます。潜伏期間(数日~数週間)を経て、発熱と解熱を繰り返す「周期熱」が特徴的であり、Aさんの症状と渡航歴に合致します。腹部症状がない点も、他の感染症との鑑別に役立ちます。選びやすい理由:他の感染症も海外渡航と関連がありますが、発熱のパターンと渡航先がマラリアを強く示唆します。混同注意:他の感染症も発熱を伴うことがあるため、周期熱の特徴と渡航歴に注目することが重要です。
- 2. コレラは主に汚染された水や食品を介して感染し、激しい水様性下痢と嘔吐を主症状とします。発熱はあっても軽度であることが多く、Aさんの「腹部症状は特にない」という記載とは異なります。正しくは:コレラは「激しい水様性下痢」が特徴です。選びやすい理由:海外渡航、特に衛生環境が十分でない地域への渡航で罹患する可能性はありますが、症状が一致しません。混同注意:海外渡航後の感染症である点は共通しますが、臨床症状が異なります。
- 3. 赤痢は細菌性またはアメーバ性があり、汚染された飲食物を介して感染し、発熱とともに血便や粘血便、腹痛、テネスムス(しぶり腹)などの消化器症状を伴います。Aさんの「腹部症状は特にない」という情報とは矛盾します。正しくは:赤痢は「血便や腹痛」などの腹部症状が顕著です。選びやすい理由:コレラと同様に、海外渡航後の感染症として考慮される可能性はありますが、症状が異なります。混同注意:消化器系の感染症であるコレラや赤痢は、腹部症状を伴う点でマラリアと鑑別できます。
- 4. 破傷風は土壌中に存在する破傷風菌が創傷部から侵入して感染し、神経毒により全身の筋肉が痙攣する病気です。発熱は合併症として生じることはありますが、周期的な発熱と解熱を繰り返す症状とは異なり、またアフリカへの渡航自体が直接的なリスク要因ではありません(創傷からの感染が主な経路です)。正しくは:破傷風は「全身の筋肉の痙攣」が特徴です。選びやすい理由:開発途上国での衛生環境が十分でない地域では罹患リスクはありますが、症状が全く異なります。混同注意:他の3つの選択肢が海外渡航に関連する感染症であるため、破傷風の症状や感染経路との違いを理解しておくことが重要です。
国試ポイント
海外渡航歴のある患者の発熱鑑別診断は重要です。特に渡航先(地域)と、発熱のパターン(周期熱の有無)、その他の随伴症状(消化器症状の有無など)を組み合わせることで、適切な感染症を予測する能力が問われます。マラリアの典型的な症状と流行地域を覚えておきましょう。
混同注意
海外渡航後の発熱性疾患は多岐にわたります。デング熱、チクングニア熱、腸チフス、A型肝炎なども考慮されうる感染症ですが、本問の「発熱と解熱を繰り返す」「腹部症状がない」という特定の情報がマラリアに強く結びつきます。発熱の周期性や、消化器症状の有無が鑑別のポイントとなります。
次に同じ論点が出たら
この患者に対して次に必要な判断は、マラリアの確定診断のための検査(血液塗抹検査、迅速診断キットなど)を速やかに行い、診断確定後、適切な抗マラリア薬による治療を開始することです。
関連知識
マラリアには数種類ありますが、特に熱帯熱マラリアは重症化しやすく、迅速な診断と治療が必要です。血液塗抹検査(ギムザ染色)によるマラリア原虫の検出が診断のゴールドスタンダードです。予防には蚊に刺されない対策と予防薬の内服が有効です。