Aちゃん(生後10か月)は、それまで機嫌よく過ごしていたが、夕方から突然不機嫌になり、15〜20分ごとに激しく泣いては、泣き止むことを繰り返した。Aちゃんは夕食の離乳食を食べず哺乳もしなかったが、嘔吐したため21時に保護者と救急病院を受診した。担当医師は保護者に、腸重積症が疑われるためグリセリン浣腸を行って便性を確認する、と説明した。体温は37.1°Cであった。 浣腸後に想定される反応便はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第108回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
イチゴゼリー状便は、腸重積症に特徴的な便であり、血液と粘液が混じり合って排泄されるものです。腸重積症の治療には、高圧浣腸を用いた非観血的整復が試みられることがあります。この治療的浣腸後に、整復が成功した場合や病態の進行に応じて、イチゴゼリー状便が排泄されることが想定されます。したがって、浣腸後に「想定される反応便」として、病態と治療の関連からイチゴゼリー状便が最も適切と考えられます。
選択肢ごとの解説
- 1. 兎糞状便は水分が不足し、腸蠕動が低下している場合にみられる便であり、浣腸による反応便ではありません。正しくは:兎糞状便は便秘の際にみられる形態です。選びやすい理由:便秘に関連する便の性状として誤解される可能性があります。混同注意:通常の便秘における便の性状と混同しやすいです。
- 2. タール様便は上部消化管出血によって血液が消化・変性したものであり、浣腸後の反応便ではありません。正しくは:タール様便は上部消化管出血を示唆します。選びやすい理由:消化器系の異常を示す便として選択される可能性がありますが、浣腸とは関連しません。混同注意:消化管出血による便と浣腸後の反応便を混同する可能性があります。
- 3. 灰白色便は胆汁の分泌不全などによって胆汁色素が便中に排出されない場合にみられ、浣腸後の反応便ではありません。正しくは:灰白色便は胆道系の疾患を示唆します。選びやすい理由:異常便の一つとして選択される可能性がありますが、浣腸とは直接関係ありません。混同注意:胆道系疾患による便と浣腸後の反応便を混同する可能性があります。
- 4. 米のとぎ汁のような便はコレラなどの重度の水様性下痢でみられ、浣腸後の反応便ではありません。正しくは:米のとぎ汁のような便はコレラなどの感染症による激しい下痢でみられます。選びやすい理由:水様便の一種として選択される可能性がありますが、特異的な病態を示します。混同注意:一般的な水様便と混同し、特異的な感染症の徴候であることを見落とす可能性があります。
- 5. 正解。イチゴゼリー状便は、腸重積症でみられる血便の一種です。浣腸(特に高圧浣腸)は、腸重積症の非観血的整復に用いられることがあり、その際に整復の成功を示す反応として、整復された腸管からの排便がみられます。この文脈では、浣腸後の「反応便」として腸重積症の整復後の血便(イチゴゼリー状便)を指す可能性があります。ただし、一般的には浣腸後の便は内容物(宿便)や浣腸液が排出されたものであり、イチゴゼリー状便は病的な便の性状です。この問題の意図は、浣腸が治療として用いられる疾患において、特定の病態を示す便が「浣腸後に」観察されうるか、という点にあると考えられます。したがって、腸重積症の診断・治療に浣腸が用いられることを踏まえると、イチゴゼリー状便が「浣腸後に想定される反応便」として最も関連性の高い選択肢となります。選びやすい理由:浣腸後にイチゴゼリー状便が出ることは通常の生理的反応ではないため、誤りだと考える受験生もいるかもしれません。しかし、腸重積症の治療としての浣腸を念頭に置けば、整復後の反応としてみられる可能性があります。混同注意:通常の浣腸後の排便と、疾患治療としての浣腸後の排便を混同する可能性があります。
国試ポイント
浣腸後の通常の排便の性状と、特定の疾患の治療としての浣腸後にみられる病態を示す便の区別、およびそれぞれの異常便が示唆する疾患の理解が問われています。
混同注意
通常の浣腸後の生理的な排便反応と、病態を示す特殊な便を混同しないよう注意が必要です。また、各選択肢の異常便が示す疾患との関連性も正確に把握しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
浣腸による整復が成功したかどうかの判断基準や、整復後の患者の状態観察のポイントを理解する必要があります。
関連知識
腸重積症の病態、症状(突然の激しい腹痛、嘔吐、血便など)、診断方法(腹部超音波検査)、治療法(高圧浣腸による非観血的整復、手術)について理解しておくことが重要です。また、各種異常便の性状と、それが示唆する疾患(タール便:上部消化管出血、灰白色便:胆道閉塞、米のとぎ汁様便:コレラなど)についても復習しておくことが求められます。