医療器材と消毒・滅菌の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第111回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
ステンレス製便器は、排泄物と接触するため感染源となり得ますが、非クリティカル器具に分類されます。熱水消毒は、適切な温度(例えば80℃以上、10分間以上)で行うことで、多くの病原微生物を不活化し、十分な消毒効果が得られます。ステンレスは熱に強く、熱水消毒に適した素材です。
選択肢ごとの解説
- 1. 手術用持針器は、使用によって体内組織に触れるため、高いレベルの滅菌が必要です。第4級アンモニウム塩は低水準消毒薬であり、ウイルスや細菌の芽胞に対する効果が限定的です。滅菌には高圧蒸気滅菌やプラズマ滅菌などが適しています。正しくは:手術用持針器は高圧蒸気滅菌またはプラズマ滅菌が必要です。選びやすい理由:消毒薬の種類が多い中で、第4級アンモニウム塩を「消毒薬」として認識していると、何となく正しいように思えるかもしれません。混同注意:第4級アンモニウム塩は環境表面や非クリティカル器具の消毒に用いられることが多く、クリティカル器具の滅菌には不十分です。
- 2. 正解。ステンレス製便器は、患者の排泄物と接触するため、感染源となる可能性がありますが、皮膚や粘膜に直接触れるクリティカルな器具ではありません。熱水消毒は、多くの細菌やウイルスを不活化する効果があり、器具の洗浄後に行うことで十分な消毒効果が得られます。ステンレスは熱に強く、熱水消毒に適しています。正しくは:正しい組み合わせです。選びやすい理由:便器のような器具には、もっと強力な消毒薬が必要だと考えるかもしれませんが、熱水消毒は一般的な環境消毒として有効です。混同注意:消毒と滅菌のレベルを混同しがちですが、便器はセミクリティカルまたはノンクリティカル器具に分類され、熱水消毒は適切な高水準消毒法の一つです。
- 3. 軟性内視鏡は、体腔内に挿入されるため、高水準消毒または滅菌が必要なセミクリティカル器具です。しかし、高圧蒸気滅菌は高温で行われるため、熱に弱い軟性内視鏡の素材(光学レンズやゴム、プラスチック部品)を損傷させる可能性があります。軟性内視鏡には、過酢酸やグルタラールなどの化学消毒薬を用いた高水準消毒、またはエチレンオキサイドガス滅菌、プラズマ滅菌などが用いられます。正しくは:軟性内視鏡は、過酢酸やグルタラールを用いた高水準消毒、またはガス滅菌、プラズマ滅菌が必要です。選びやすい理由:内視鏡が体内に挿入されるため、「滅菌が必要」という認識は正しいですが、高圧蒸気滅菌がすべての滅菌方法に適しているわけではないという点で誤解を生みやすいです。混同注意:器具の種類によって適用できる滅菌・消毒法が異なることを理解していないと、この選択肢を選んでしまう可能性があります。
- 4. ベッド柵は、患者が触れる頻度の高い環境表面であり、低水準消毒で十分です。グルタラールは高水準消毒薬であり、主に熱に弱い医療器具の消毒に用いられます。ベッド柵の消毒にグルタラールを使用することは、過剰であり、またグルタラールは刺激性があるため、一般的な環境表面の清拭には適していません。アルコールや次亜塩素酸ナトリウムなどの低水準消毒薬で十分です。正しくは:ベッド柵は、アルコールや次亜塩素酸ナトリウムなどの低水準消毒薬で消毒します。選びやすい理由:グルタラールが強力な消毒薬であるため、感染対策には良いだろうと考えてしまうかもしれませんが、器具の分類と消毒レベルが一致していません。混同注意:グルタラールは強力な消毒薬であるため、多くの感染源に対応できるという認識から、どこにでも使えると誤解されがちです。しかし、その使用には適応と注意事項があります。
国試ポイント
医療器具の分類(クリティカル、セミクリティカル、ノンクリティカル)に応じた適切な消毒・滅菌方法を理解しているかが問われます。特に、器具の素材特性も考慮した選択が重要です。
混同注意
各選択肢で提示されている消毒・滅菌法が、強力なものであるため、一見すると正しいように見えてしまう点が混乱を招きやすいです。器具の用途と素材、そして消毒・滅菌法の適応を正確に把握する必要があります。
次に同じ論点が出たら
この知識を応用して、新しい医療機器や特殊な素材で作られた器具に対して、どのような消毒・滅菌法が最適かを判断できるようになることが求められます。
関連知識
スポルディングの分類(クリティカル、セミクリティカル、ノンクリティカル)、各消毒薬の特徴と適用範囲(例:第4級アンモニウム塩、アルコール、次亜塩素酸ナトリウム、グルタラール、過酢酸)、滅菌法の種類と特徴(高圧蒸気滅菌、エチレンオキサイドガス滅菌、プラズマ滅菌、放射線滅菌)。