点滴静脈内注射によって抗癌薬を投与している患者の看護で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
抗がん薬の副作用として、消化器症状である吐き気や嘔吐は非常に高頻度に現れます。これは抗がん薬が消化管粘膜細胞や化学受容体引き金帯(CTZ)に作用するためです。制吐剤の適切な使用は、患者さんの苦痛を軽減し、治療継続に不可欠な支持療法です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。抗がん薬の点滴静脈内注射による副作用として、吐き気や嘔吐は頻繁に起こります。これらは患者さんの苦痛を増大させ、治療継続を困難にするため、制吐剤などの薬剤を用いて適切に症状を和らげることは非常に重要です。選びやすい理由:抗がん薬治療を受ける患者の主要な苦痛の一つであり、看護師として患者のQOL向上に直結するケアであるため。混同注意:他の副作用マネジメント(例:骨髄抑制、脱毛、倦怠感)との相対的な優先度。ただし、吐き気・嘔吐は早期かつ高頻度に発生し、患者の活動能力に直結するため重要性は高い。
- 2. 抗がん薬は血管炎や静脈硬化を起こしやすいため、同一血管への繰り返し穿刺を避けるべきです。また、手背は細い血管が多く、血管外漏出時の組織損傷リスクや目立ちやすさから、可能な限り避けるべき部位の一つとされています。適切な血管の選択は、薬液の漏出や静脈炎のリスクを考慮し、前腕などの太く良好な血管を優先します。正しくは:点滴のための留置針は、特別な理由がない限り、前腕などの太く良好な血管への挿入を優先し、手背は避けるべきです。選びやすい理由:手背は穿刺しやすい部位ではあるため。しかし、抗がん薬の特性上、より慎重な部位選択が必要。混同注意:一般的な点滴ルート確保時の部位選択。抗がん薬の場合は、血管への刺激性や将来のルート確保の可能性を考慮し、より慎重な部位選択が求められる。末梢静脈栄養など高浸透圧輸液で手背を避ける理由と類似。
- 3. 血管痛が生じた場合、まず点滴速度を調整したり、ルート固定を見直したり、患部を温めるなどの初期対応を試みます。すぐに留置針を刺し直すのではなく、原因を特定し、可能な限りその場での対処を試みることが重要です。血管外漏出が疑われる場合は直ちに中止し、刺し直しを検討しますが、単なる血管痛であれば即座の抜去・刺し直しが最優先とは限りません。正しくは:もし血管痛が生じたら、点滴速度の調整や患部の保温など、まずは血管痛の原因に応じた対処を試みます。血管外漏出が疑われる場合は、直ちに点滴を中止し、刺し直しを検討します。選びやすい理由:患者の苦痛を早く取り除きたいという思いから、すぐに抜去・刺し直しを考えがち。しかし、原因によっては局所的な対処で改善する場合もある。混同注意:血管外漏出時の対応。血管外漏出の場合は直ちに中止し、別の部位への再確保が必要となるが、血管痛の場合は必ずしもそうではない。
- 4. 抗がん薬投与による過敏症反応は、初回投与時だけでなく、2回目以降の投与時にも発現する可能性があります。特にプラチナ製剤やタキサン系製剤など特定の薬剤では、蓄積曝露により過敏症のリスクが増加する場合もあるため、毎回、投与中は患者さんの全身状態を注意深く観察し、過敏症の症状が出ないか確認する必要があります。正しくは:2回目以降の抗がん薬投与時にも、過敏症の症状が出ないか注意深く確認する必要があります。選びやすい理由:過敏症は初回投与時に起こりやすいという一般的な認識があるため。しかし、薬剤によっては2回目以降もリスクがあることを軽視しがち。混同注意:薬物アレルギーの初回発現と再発。一部の薬剤では蓄積性があり、繰り返し曝露することでアレルギー反応が誘発されることがある。
国試ポイント
抗がん薬治療における副作用マネジメント(特に消化器症状と血管関連トラブル)に関する看護ケアを理解すること。
混同注意
抗がん薬の副作用は多岐にわたるが、特に早期に出現し、患者のQOLに大きく影響する吐き気・嘔吐は、他の副作用(骨髄抑制、脱毛など)と区別してケアの優先度を理解する必要がある。また、血管外漏出と血管痛の鑑別も重要。
次に同じ論点が出たら
抗がん薬の点滴静脈内注射における看護ケア問題が出題された場合、副作用対策(特に制吐、骨髄抑制、粘膜障害)と、点滴管理(血管選択、血管外漏出予防・対処)に関する知識が問われているかを確認する。
関連知識
抗がん薬の主な副作用とその発現時期、副作用対策(例:骨髄抑制に対するG-CSF、口内炎ケア、脱毛ケアなど)。点滴静脈注射時の合併症(静脈炎、血管外漏出、神経損傷)とその予防・対処法。