Aさん(60歳、男性)は、自宅近くを散歩中に突然の胸痛が出現し、救急車を要請した。救急隊到着時のバイタルサインは、呼吸数28/分、脈拍100/分、血圧80/40mmHgであった。冷汗が著明で、前胸部から左肩にかけての激痛を訴えていた。問診で狭心症の既往歴があることが分かった。入院時の検査で急性心筋梗塞と診断された。 このときの検査所見として適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
心筋梗塞の検査所見として最も特徴的かつ早期に認められるのは、心電図におけるST部分の上昇です。これは心筋虚血による再分極異常を反映しており、診断において非常に重要な指標となります。他の選択肢は、心筋梗塞の診断には直接的でなかったり、事実と異なる所見を示しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。心筋梗塞では、心筋虚血により心電図のST部分が上昇することが典型的な所見です。これは、虚血部位からの再分極異常を反映しています。選びやすい理由:ST上昇は心筋梗塞の代表的な所見であり、鑑別を要する他の疾患も考慮しつつも、この選択肢が最も適切です。混同注意:ST上昇は心筋炎や異型狭心症などでも見られますが、設問の文脈(心筋梗塞が示唆される状況)では第一に心筋梗塞を示唆します。
- 2. 心筋梗塞による心不全が進行すると、肺水腫を引き起こし、呼吸音が減弱する可能性はありますが、これは直接的な心筋梗塞の所見ではありません。また、呼吸音の減弱は気胸や胸水など他の疾患でも見られます。左肺に特化する理由も提示されていません。正しくは:心筋梗塞に直接関連する所見ではないため不適切です。心不全による肺水腫の場合、湿性ラ音や呼吸困難が見られます。選びやすい理由:心疾患と呼吸器系の関連性から一見正しいように思えるかもしれませんが、心筋梗塞の直接的な初期診断指標ではありません。混同注意:呼吸音の異常は多くの心肺疾患で観察されるため、心筋梗塞に特異的ではありません。
- 3. 心筋梗塞が発生すると、壊死した心筋細胞からクレアチンキナーゼ(CK)やそのアイソザイムであるCK-MBが血中に逸脱するため、これらの酵素活性は通常上昇します。下降することはありません。正しくは:クレアチンキナーゼ(CK)は心筋梗塞で上昇します。選びやすい理由:検査値に関する知識を問う選択肢ですが、下降は誤りです。上昇を連想させようとしている点で引っかかりやすいです。混同注意:CKの変動は多くの疾患で見られますが、心筋梗塞では上昇します。肝疾患などで低値を示すこともありますが、心筋梗塞では上昇です。
- 4. 心筋梗塞により心機能が低下し心不全が起こると、心臓の拡大や肺うっ血が見られることが多く、心陰影は通常拡大傾向にあります。縮小することは稀です。正しくは:心筋梗塞による心不全では、心陰影は拡大することが多いです。選びやすい理由:心臓に関連する画像検査の選択肢であり、知識の曖昧さから選んでしまう可能性がありますが、心不全では心拡大が見られます。混同注意:胸部エックス線写真で心陰影が縮小することは、例えば脱水など特殊な状況を除いて一般的ではありません。心筋梗塞では心拡大を伴うことが多いです。
国試ポイント
心筋梗塞における主要な検査所見、特に心電図と心筋逸脱酵素の基本的な知識が問われています。それぞれの検査所見がどのような病態を反映しているかを理解することが重要です。
混同注意
心筋梗塞と心不全の鑑別、また心筋逸脱酵素の上昇・下降の理解。
次に同じ論点が出たら
ST上昇型心筋梗塞と非ST上昇型心筋梗塞の違い、それぞれの治療戦略の理解。
関連知識
心筋梗塞の診断基準(心電図変化、心筋逸脱酵素上昇、臨床症状)、急性心筋梗塞の初期対応。