Aさん(65歳、男性)は、肺気腫で在宅酸素療法を受けている。ある日、Aさんの妻(70歳)から「同居している孫がインフルエンザにかかりました。今朝から夫も体が熱く、ぐったりしています」と訪問看護ステーションに電話で連絡があったため緊急訪問した。訪問看護師が確認する項目で優先度が高いのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
Aさんは肺気腫の既往があり、在宅酸素療法を受けている患者です。同居の孫がインフルエンザに罹患し、Aさん自身も発熱と全身倦怠感を訴えていることから、インフルエンザ感染による呼吸器合併症(肺炎など)を発症し、呼吸状態が悪化している可能性が最も高く、緊急性が高いと判断されます。経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)は、身体の酸素化状態を客観的かつ簡便に評価できる最も直接的な指標であるため、呼吸不全の有無や進行度を判断するために最優先で確認すべき項目です。
選択肢ごとの解説
- 1. 喀痰の性質を確認することも重要ですが、呼吸状態の悪化を直接的に示すSpO2の確認がより緊急性が高いです。特に肺気腫患者では肺炎の合併により呼吸不全が急速に進行するリスクがあります。正しくは:呼吸状態の緊急度が高い場合、喀痰の性質確認よりも先にSpO2や呼吸回数などのバイタルサインを優先すべきです。選びやすい理由:肺疾患患者では呼吸器感染症の合併時に喀痰の変化がみられるため、重要項目であると誤解しやすいかもしれません。混同注意:呼吸器疾患の患者であるため、気道分泌物の評価も重要ですが、急性期の全身状態の評価としてはSpO2がより優先されます。
- 2. 胸痛の有無も確認項目の一つですが、インフルエンザ感染が疑われる状況下で、肺気腫患者において全身倦怠感と発熱がある場合は、呼吸不全の進行が最も懸念されます。胸痛は胸膜炎などの合併症で起こりえますが、緊急性はSpO2の評価に劣ります。正しくは:胸痛の有無は確認しますが、肺気腫患者の感染症合併時において、呼吸状態の悪化を早期に捉える指標としての優先度はSpO2より低いです。選びやすい理由:胸痛は心疾患や肺塞栓などの重篤な病態を示唆する場合があるため、緊急性が高いと判断しがちです。混同注意:胸痛は肺や心臓の緊急事態を示す症状ですが、今回のケースでは感染症による呼吸状態悪化の可能性が高く、直接的な呼吸機能評価であるSpO2がより優先されます。
- 3. 関節痛はインフルエンザの症状の一つですが、肺気腫患者において発熱と全身倦怠感がある場合、最も優先されるのは呼吸不全の進行の有無を確認することです。関節痛の有無を確認する優先度は、呼吸状態の評価に比べて低いです。正しくは:関節痛はインフルエンザの症状として関連しますが、肺気腫患者の生命維持に関わる呼吸状態の評価よりも優先度は低いです。選びやすい理由:インフルエンザの典型的な全身症状の一つであるため、確認項目として適切だと感じやすいです。混同注意:インフルエンザの診断に役立つ症状ですが、病態の緊急性や重症度を判断する上でSpO2測定の方がはるかに重要です。
- 4. 正解。肺気腫患者がインフルエンザに罹患した場合、肺炎などの合併症により呼吸不全が急速に悪化し、低酸素状態に陥るリスクが高いです。SpO2は全身への酸素供給状態を直接的かつ非侵襲的に評価できる最も重要な指標であり、呼吸状態の緊急性を判断するために最優先で確認すべき項目です。正しくは:この選択肢は正しいです。
国試ポイント
肺気腫などの慢性呼吸器疾患患者が感染症に罹患した場合の重症化リスクと、呼吸不全の早期発見のための緊急性の高いアセスメント項目を理解しているかが問われています。特にSpO2は呼吸機能の指標として非常に重要です。
混同注意
インフルエンザの症状として、関節痛や喀痰の性状の変化も確認する項目ではありますが、肺気腫という基礎疾患を持つ患者の急性増悪時には、生命維持に直結する呼吸状態(酸素化)の評価が最も優先されます。胸痛も重篤な合併症を示唆しえますが、この状況ではまず呼吸不全の評価が先決です。
次に同じ論点が出たら
SpO2が低値であれば、医師への緊急連絡、酸素流量の増量(医師の指示または緊急プロトコルに基づき)、呼吸状態の継続的なモニタリング、および速やかな医療機関への搬送の検討が必要となります。
関連知識
慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者における急性増悪時の主な原因は感染症であり、低酸素血症の悪化は生命予後に直結します。SpO2が90%未満の場合は、速やかに医師への報告や追加の酸素投与など緊急対応が必要となることがあります。また、呼吸回数や呼吸様式、チアノーゼの有無なども同時に確認すべき重要項目です。