標準的な成長・発達をしている子どもが「ばい菌が体内に入ることで病気になる」と考えるようになるのは、ピアジェ, J.の認知的発達段階のどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第114回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
ピアジェの認知発達理論において、前操作期(2~7歳頃)の子どもは、目の前の具体的な事象から単純な因果関係を理解し始めます。「ばい菌が体内に入ることで病気になる」という考えは、まだ論理的な根拠に基づいたものではありませんが、現実世界の現象を模倣したり、ごっこ遊びを通して理解したりする中で形成され始める素朴な因果関係の理解に相当します。例えば、怪我をした時に「ばい菌が入るといけないから消毒する」といった言葉を聞くことで、病気とばい菌の関連性を認識するようになることがあります。
選択肢ごとの解説
- 1. 感覚運動期(0~2歳頃)は、対象の永続性の獲得など、感覚と運動を通して世界を理解する段階であり、「ばい菌」のような抽象的な概念を理解するには至りません。正しくは:感覚と運動を通して外界を認識する時期である。選びやすい理由:乳幼児期に病気について漠然とした理解を持つことはあるが、ばい菌と病気の因果関係を認識するのはこの時期ではない。混同注意:対象の永続性や模倣といった発達課題と混同しやすい。
- 2. 正解。前操作期(2~7歳頃)は、記号機能や自己中心性が特徴的な段階ですが、具体的な対象に基づいた因果関係(例:ばい菌→病気)を素朴に理解し始めることがあります。特に、ごっこ遊びなどを通して現実世界を模倣する中で、病気の原因や過程についても単純な理解を形成し始めます。ただし、論理的思考はまだ未熟です。選びやすい理由:具体的な操作を伴うわけではないため、次段階の具体的操作期と迷う可能性がある。混同注意:前操作期は自己中心性が強く、他者の視点を理解しにくい時期であるため、複雑な因果関係の理解は難しいと誤解されがちだが、身近な事柄については理解が始まる。
- 3. 具体的操作期(7~11歳頃)は、保存の概念の理解、分類、系列化など、具体的な事柄について論理的な思考が可能になる段階です。ばい菌と病気の因果関係をより論理的に、普遍的なものとして理解できるようになるのはこの時期ですが、「考えるようになる」段階としては前操作期から始まることが多いです。正しくは:具体的な事柄について論理的な思考が可能になる時期である。選びやすい理由:病原菌による病気の因果関係は論理的な思考が関わるため、この時期と考えがちだが、初期的な理解は前操作期から始まる。混同注意:前操作期との違いは、論理的な思考が「具体的」な対象に限定されるか、抽象的な思考が始まるかという点で、因果関係の理解の「深さ」で区別される。
- 4. 形式的操作期(11歳頃~)は、抽象的な概念や仮説演繹的な思考が可能になる段階です。ばい菌と病気の因果関係を科学的な理論や仮説として深く理解できるようになりますが、「考えるようになる」初期段階としては遅すぎます。正しくは:抽象的な思考や仮説演繹的な推論が可能になる時期である。選びやすい理由:科学的な病気の理解は高度な思考を要するため、この時期と考えやすいが、基本的な理解の始まりではない。混同注意:自己同一性の確立など、思春期特有の発達課題と混同しやすい。
国試ポイント
ピアジェの認知発達段階の各特徴と、具体的な子どもの行動や思考がどの段階に当てはまるかを理解しているか問う問題です。特に、因果関係の理解がどの時期から始まるか、その理解の質がどのように変化するかがポイントとなります。
混同注意
前操作期と具体的操作期の区別が難しい場合があります。前操作期は『素朴な因果関係の理解』や『自己中心性』が特徴であり、具体的な操作期は『論理的な思考の始まり(ただし具体的対象に限る)』が特徴です。ばい菌と病気の因果関係の『始まり』は前操作期に、より論理的・普遍的な理解は具体的操作期に深まります。
次に同じ論点が出たら
今後出題される可能性として、各発達段階における『思考の限界』や『発達課題の獲得』といった側面から、具体的な事例を挙げて問われることが考えられます。
関連知識
ピアジェの認知発達段階:感覚運動期(0-2歳、対象の永続性)、前操作期(2-7歳、自己中心性、記号機能)、具体的操作期(7-11歳、保存の概念、分類、系列化、論理的思考の始まり)、形式的操作期(11歳-、抽象的思考、仮説演繹的思考)。それぞれの段階で獲得される主要な認知能力を理解しておくことが重要です。