骨盤底筋訓練が有効な尿失禁はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第114回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
腹圧性尿失禁は、骨盤底筋群の筋力低下や弛緩が主な原因で、腹圧がかかる際に尿道が十分に締められず尿が漏れる状態です。骨盤底筋訓練は、これらの筋肉を意識的に収縮・弛緩させることで強化し、尿道を支え、閉鎖する力を高めるため、腹圧性尿失禁の改善に非常に有効な治療法とされています。
選択肢ごとの解説
- 1. 溢流性尿失禁は、膀胱からの尿排出路が閉塞しているか、膀胱の収縮力が低下しているために膀胱に尿がたまり過ぎて溢れ出す状態です。骨盤底筋訓練は排尿障害の原因を直接解決する治療法ではありません。正しくは:このタイプの尿失禁には、閉塞の原因除去(例:前立腺肥大症の手術)や、膀胱の収縮力を高める薬物療法、自己導尿などが適用されます。選びやすい理由:「尿漏れ」という共通の症状があるため、広く尿失禁全般に効果があるように感じるかもしれません。混同注意:他の種類の尿失禁と異なり、尿道の締め付け機能の低下が主要な原因ではない点を混同しやすいです。
- 2. 機能性尿失禁は、排尿機能自体に問題はないものの、身体的・精神的な要因(例:認知症によるトイレの認識障害、運動機能の低下による移動困難)でトイレまで間に合わない場合に起こります。骨盤底筋訓練はこれらの機能面の問題を解決するものではありません。正しくは:原因となる身体機能や認知機能の改善、環境整備(手すりの設置、ポータブルトイレの活用)、介護支援などが主な対応策となります。選びやすい理由:「訓練」という言葉から、何らかのリハビリテーションとして有効だと誤解しやすいかもしれません。混同注意:膀胱や尿道の機能障害が直接の原因ではないため、他の尿失禁のタイプと根本的なアプローチが異なります。
- 3. 切迫性尿失禁は、突然強い尿意が起こり、我慢できずに漏れてしまう状態です。主に過活動膀胱による膀胱の不随意収縮が原因とされます。骨盤底筋訓練は補助的に用いられることもありますが、主要な治療は膀胱訓練や薬物療法(抗コリン薬、β3作動薬など)です。正しくは:主な治療法は、薬物療法による膀胱の過活動の抑制、膀胱訓練、行動療法です。骨盤底筋訓練は排尿を一時的に我慢するための補助として併用されることがあります。選びやすい理由:骨盤底筋訓練が尿意をコントロールする助けになると誤解したり、併用療法の一つとして知っているため、正解と選びやすいです。混同注意:腹圧性尿失禁と混同しやすいですが、切迫性尿失禁の根本原因は膀胱の過活動であり、腹圧性尿失禁のように尿道の支持・閉鎖機能の低下が主ではありません。
- 4. 正解。腹圧性尿失禁は、咳、くしゃみ、重い物を持つなどの腹圧がかかる動作時に、骨盤底筋群の機能低下によって尿道を十分に締められなくなり、尿が漏れる状態です。骨盤底筋訓練は、この骨盤底筋群を強化することで、尿道の支持力を高め、閉鎖機能を向上させるため、症状の改善に最も効果的です。
国試ポイント
尿失禁の主要な種類と、それぞれの原因に応じた適切な治療・看護介入に関する基本的な知識が問われています。特に、骨盤底筋訓練がどのタイプの尿失禁に対して最も効果的であるかを正確に理解していることが重要です。
混同注意
切迫性尿失禁と腹圧性尿失禁は、ともに骨盤底筋訓練が関連することから混同されがちです。しかし、切迫性尿失禁の主要な原因は膀胱の過活動であり、骨盤底筋訓練はあくまで補助的な役割です。一方、腹圧性尿失禁は骨盤底筋の直接的な強化が根本的な治療となります。
次に同じ論点が出たら
この論点に関連して、次に問われる可能性のある内容は、各尿失禁の具体的な原因疾患、骨盤底筋訓練の具体的な方法や指導内容、または他の治療法(薬物療法や膀胱訓練など)の詳細なメカニズムや適用条件などです。尿失禁患者への看護介入のポイントも重要となります。
関連知識
各尿失禁の定義、原因(例:溢流性-前立腺肥大症、機能性-認知症)、症状、診断方法、および薬物療法(例:切迫性-抗コリン薬)、行動療法(例:切迫性-膀胱訓練)、手術療法などの治療選択肢について理解しておく必要があります。また、高齢者の尿失禁が多い背景や、QOLへの影響についても知識が必要です。