Aさん(43歳、男性)は胆道狭窄のため内視鏡的逆行性胆管膵管造影〈ERCP〉検査を受けた。検査後に心窩部痛が出現したため血液検査を行い、禁食、抗菌薬および蛋白分解酵素阻害薬による治療を行うことになった。血液検査の項目でAさんに生じた合併症を判断できるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
ERCPは膵管にカテーテルを挿入し造影剤を注入するため、膵臓への刺激が避けられません。この刺激により、検査後には急性膵炎を発症するリスクがあります。心窩部痛は急性膵炎の典型的な症状であり、血液中のアミラーゼ(AMY)は膵臓から分泌される消化酵素であるため、膵臓が炎症を起こすと血中に大量に逸脱し、その値が著しく上昇します。したがって、アミラーゼはERCP後膵炎の診断に最も有用なマーカーとなります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。ERCP後の心窩部痛は急性膵炎の典型的な症状であり、血中アミラーゼ値の上昇は急性膵炎の診断に非常に有用です。正しくは:適切です。選びやすい理由:直接的な診断指標として誤解される可能性がありますが、ERCP後の合併症として膵炎が疑われる場合はアミラーゼが最も特異的です。混同注意:他の消化器系酵素と混同する可能性もありますが、膵臓特異性からアミラーゼが優先されます。
- 2. アルブミンは栄養状態や肝機能に関連しますが、ERCP後の急性合併症、特に膵炎の診断には直接的ではありません。正しくは:アルブミンは急性膵炎の診断には直接的ではありません。栄養状態の指標としては重要ですが、急性の合併症を判断する目的には不向きです。選びやすい理由:全身状態の指標として重要であるため、選択肢として考慮されるかもしれませんが、心窩部痛の原因特定には繋がりません。混同注意:肝機能障害や栄養不良と関連するが、急性膵炎とは異なる病態の指標です。
- 3. カリウムは電解質バランスの指標ですが、ERCP後の心窩部痛や急性膵炎の診断に直接的に関連する項目ではありません。正しくは:カリウムは電解質異常の指標であり、ERCP後の急性合併症の診断には不向きです。脱水や腎機能障害の指標にはなりえますが、心窩部痛の直接の原因ではありません。選びやすい理由:全身状態の変化に伴う電解質異常は起こり得ますが、心窩部痛の原因を特定する直接的な指標ではありません。混同注意:一般的な血液検査項目として選択肢に入ることはあるが、症状との関連性が低い。
- 4. クレアチンキナーゼ(CK)は主に筋肉の損傷や心筋梗塞で上昇する酵素であり、ERCP後の急性膵炎の診断には用いられません。正しくは:クレアチンキナーゼは筋肉や心筋の逸脱酵素であり、急性膵炎の診断には適していません。心臓疾患や筋疾患を疑う場合に測定されます。選びやすい理由:酵素であるため、何らかの臓器障害を示唆すると誤解されるかもしれませんが、膵臓の障害を示すものではありません。混同注意:他の酵素と混同する可能性もあるが、膵臓特異性がないため適切ではない。
国試ポイント
ERCP後の主要な合併症である急性膵炎の診断指標について理解しているかどうかが問われる問題です。アミラーゼとリパーゼが膵炎の重要なマーカーであることを覚えておく必要があります。
混同注意
ERCP後の腹痛は急性胆嚢炎や穿孔などの可能性もありますが、設問では心窩部痛とされており、膵炎が強く疑われます。他の酵素と混同しないように注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
アミラーゼの値だけでなく、リパーゼの値、炎症反応(CRP、白血球数)、画像検査(CT、MRI)などを総合的に評価し、急性膵炎の重症度を判断し、適切な治療介入の継続や強化を検討します。
関連知識
急性膵炎の診断基準(改訂ランソン基準、重症度スコアなど)、リパーゼの重要性、ERCP以外の膵炎の原因(アルコール性、胆石性など)、急性膵炎の治療(禁食、輸液、鎮痛、蛋白分解酵素阻害薬など)。