Aさん(49歳、女性)は、これまで在宅勤務でほとんど外出することがなく、BMI33であった。Aさんは久しぶりの出勤の際に転倒し、右大腿骨頸部骨折と診断され、右人工股関節置換術を受けることになった。 Aさんの術後に最も注意すべき所見はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
術後は長期臥床や循環動態の変化により深部静脈血栓症(DVT)のリスクが高まります。Homans徴候はDVTの臨床的な指標の一つであり、肺血栓塞栓症などの重篤な合併症に移行する前に早期発見・早期介入することが極めて重要であるため、術後の患者で最も注意すべき所見の一つです。
選択肢ごとの解説
- 1. Courvoisier徴候は胆管閉塞(膵頭部癌など)による胆嚢腫大を示唆するもので、術後に一般的に注意すべき徴候ではありません。正しくは:膵頭部癌や胆管癌による胆道閉塞が疑われる場合に評価します。選びやすい理由:他の徴候と混同して、なんとなく医療用語として耳にしたことがあるため選んでしまう可能性があります。混同注意:他の腹部診察における徴候(Murphy徴候など)と混同することがあります。
- 2. Blumberg徴候は腹膜刺激症状(腹膜炎)を示唆するもので、急性腹症の診断に重要ですが、一般的な術後早期の観察で「最も」注意すべき徴候というよりは、合併症発生時の所見です。術後合併症として腹膜炎は起こりえますが、血栓症の頻度とリスクを考えると優先順位は低いです。正しくは:腹痛を伴う術後合併症(縫合不全、消化管穿孔などによる腹膜炎)が疑われる場合に評価します。選びやすい理由:腹部手術後の患者であれば、腹膜炎も起こりうるため、正しいように感じてしまうかもしれません。混同注意:他の腹部所見(筋性防御など)と混同することがあります。
- 3. 正解。Homans徴候は深部静脈血栓症(DVT)を示唆する所見であり、手術後は安静や循環動態の変化によりDVTのリスクが高まるため、特に下肢のDVTの早期発見のために重要です。DVTは肺血栓塞栓症(PTE)に繋がる重篤な合併症であり、術後管理で最も注意すべき合併症の一つです。正しくは:この選択肢は正しいです。混同注意:他の下肢の徴候や神経系の徴候と混同することがあります。
- 4. Romberg徴候は平衡機能障害(主に脊髄後索障害や前庭機能障害)を評価するものであり、術後患者に一般的に最も注意すべき徴候ではありません。術後の意識状態や神経学的異常を評価する場面で用いることはありますが、プライマリケアとしての術後観察の「最も」という点では優先されません。正しくは:小脳失調、脊髄後索障害、前庭機能障害が疑われる場合に評価します。選びやすい理由:神経系の徴候であるため、術後のせん妄や神経麻痺などの合併症と関連付けて考えてしまう可能性があります。混同注意:Barre徴候やMMTなどの神経学的検査と混同することがあります。
国試ポイント
手術後の患者管理において、特に注意すべき合併症とその徴候に関する知識が問われています。深部静脈血栓症と肺血栓塞栓症の予防と早期発見は、術後看護の重要な柱の一つです。
混同注意
各徴候がどの疾患や状態に関連しているかを正確に理解していないと、他の選択肢と混同しやすいです。特に、身体診察で用いられる様々な徴候の適応と意味を整理しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出た場合は、術後に起こりやすい他の合併症(肺炎、無気肺、創部感染、消化管麻痺、イレウスなど)と、それぞれの徴候やケアについて問われる可能性があります。
関連知識
深部静脈血栓症(DVT)の症状(下肢の腫脹、疼痛、発赤、熱感など)、予防策(早期離床、弾性ストッキング、間欠的空気圧迫装置、抗凝固薬)、肺血栓塞栓症(PTE)の症状(胸痛、呼吸困難、頻呼吸、チアノーゼなど)。