薬剤投与に関する重大な医療事故が発生した。このときの看護師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・2番
解説
医療事故発生時は、何よりもまず患者の安全を確保することが最優先です。その上で、事故の原因究明と再発防止のために、発生状況を客観的に正確に記録することが極めて重要となります。迅速な報告や証拠の保全、患者・家族への誠実な説明も重要ですが、これらは初期の安全確保と記録作成と並行して、あるいはその直後に行われるべき対応です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。医療事故発生時、最も優先すべきは患者の生命と安全の確保です。初期対応として、バイタルサインの確認、症状のアセスメント、緊急処置の実施などにより、患者の状態を安定させ、さらなる悪化を防ぐことが不可欠です。
- 2. 正解。事故発生時の状況を正確かつ詳細に記録することは、原因究明、再発防止策の検討、および法的対応のために非常に重要です。客観的な事実に基づいた記録は、後の検証に不可欠な情報源となります。
- 3. 事故発生時の原因究明のためには、使用した薬剤や物品が重要な証拠となる可能性があります。これらをすぐに処分せず、保全しておく必要があります。正しくは:薬剤投与に用いた医療器具や薬剤は、証拠として保全する。選びやすい理由:一般的な感染管理の観点から使用済み物品は速やかに処分すべきと考えるかもしれませんが、医療事故時は原因究明のため例外的に保全が優先されます。混同注意:通常の使用済み医療廃棄物の処理ルールと、医療事故発生時の証拠保全の必要性を混同しやすい。
- 4. 重大な医療事故は、患者の安全確保と同時に、迅速な情報共有と組織的な対応が求められます。患者の状態が落ち着くのを待つのではなく、可能な限り速やかに上司に報告し、必要な指示を仰ぐべきです。正しくは:患者の安全を確保しつつ、速やかに上司に報告する。選びやすい理由:患者のケアが最優先であるという考えから、患者の状態が落ち着いてからで良いと判断しがちです。混同注意:状況が整理できてから報告するべきという一般的なビジネス上の報告タイミングと、医療安全における迅速な報告義務を混同しやすい。
- 5. 医療事故が発生した際は、患者とその家族に対し、可能な範囲で速やかに事実を伝え、誠実に対応することが重要です。原因究明を待つのではなく、現時点で判明している事実を丁寧に説明し、不安や疑問に応える姿勢が求められます。正しくは:患者および家族には、現時点で判明している事実を速やかに説明し、誠実に対応する。選びやすい理由:不確かな情報を伝えて混乱を招くことを避けるため、原因が明確になってから説明する方が良いと考えるかもしれません。混同注意:原因が完全に解明されるまで説明を控えるという医療者側の都合と、患者・家族の知る権利および事故後の心理的ケアの必要性を混同しやすい。
国試ポイント
この問題は、医療事故発生時の看護師の初期対応における優先順位と、求められる具体的な行動規範を問うものです。特に、患者の安全確保と情報保全・記録の重要性がポイントとなります。
混同注意
事故発生時の証拠保全(物品を処分しない)と、感染管理上の使用済み物品の処理を混同しやすい。上司への報告は、患者の状態安定後ではなく、可能な限り迅速に行うという原則を理解しているか。患者・家族への説明は、原因究明後ではなく、判明している事実を速やかに伝える誠実さが求められることを理解しているか。
次に同じ論点が出たら
他の医療事故発生時の対応(例:採血後の迷走神経反射、転倒・転落など)についても、初期対応の優先順位や報告・記録の原則が適用できるかを判断できるか。また、インシデントレポートの記載内容や目的についても理解を深めているか。
関連知識
医療安全管理に関するガイドライン、ヒヤリハット・インシデント報告制度、説明責任とインフォームド・コンセント、法的側面(証拠保全)。