便秘を訴えている患者の打診のアセスメント項目で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第108回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
便秘の患者では、腸管内に便とともにガスが貯留しやすくなります。このガスの貯留により腹部が膨満し、打診すると腹部全体または部分的に鼓音を聴取します。この状態を鼓腸といい、便秘のアセスメントにおける打診所見として適切です。他の選択肢は、触診で確認する腫瘤や、急性腹症でみられる筋性防御、叩打痛などの所見であり、便秘の打診では通常評価しません。
選択肢ごとの解説
- 1. 硬いしこり(腫瘤)は触診で確認されることが多い所見であり、打診では確認しにくいです。また、便秘だけで硬い腫瘤が触知されることは通常ありません。正しくは:触診で確認されることが多く、便秘の直接的な打診所見ではありません。選びやすい理由:便秘で硬い便が貯留している状態をイメージしやすいかもしれませんが、それは打診では『硬いしこり』として確認されるものではありません。混同注意:触診と打診の区別、および便塊と腫瘍性病変の混同。
- 2. 筋性防御は、腹膜刺激症状がある場合に腹筋が不随意的に収縮する状態を指し、急性腹症などで見られる重要な兆候です。便秘の打診で直接的に確認される所見ではありません。正しくは:腹膜炎などの急性腹症でみられる所見であり、打診で直接評価する項目ではありません。選びやすい理由:腹部の不快感や痛みがあるときに、患者が無意識に腹部に力を入れていると誤解する可能性がありますが、筋性防御はより重篤な病態を示唆します。混同注意:単なる腹部の張りや不快感と、腹膜刺激による防御反応の混同。
- 3. 叩打痛は、打診によって腹部に痛みが生じる状態を指し、これも急性炎症や腹膜刺激症状がある場合に認められます。便秘自体が打診で叩打痛を引き起こすことは稀です。正しくは:炎症や腹膜刺激症状でみられる所見であり、便秘の直接的な打診所見ではありません。選びやすい理由:便秘による腹部の不快感や圧痛を、叩打痛と結びつけてしまう可能性がありますが、叩打痛は炎症性疾患を示唆するものです。混同注意:圧痛と叩打痛の混同。
- 4. 正解。便秘の際には腸内にガスが貯留しやすく、その結果として腹部が膨隆(鼓腸)します。腹部を打診すると、ガスが貯留している部位では鼓音を聴取することができ、これは便秘のアセスメントにおいて適切な所見です。
国試ポイント
身体診察(特に腹部診察の打診)における各所見の意味と、それが示唆する病態の理解が問われています。便秘における腹部打診の典型的な所見を正確に把握しているかどうかがポイントです。
混同注意
腹部診察における「視診」「触診」「打診」「聴診」の各手技で得られる情報の違いや、それぞれの所見が示す疾患状態の区別が混同しやすい点です。特に触診と打診で得られる情報、炎症性疾患と便秘の鑑別が重要です。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出た場合、各身体診察手技(視診、触診、打診、聴診)で具体的にどのような情報が得られ、それがどの病態と関連するかを問う問題が想定されます。特定の疾患に対して、どの診察手技が最も有用な情報をもたらすかを判断させる問題も考えられます。
関連知識
・腹部診察の基本手順(視診→聴診→打診→触診)とその理由 ・打診音の種類(鼓音、濁音、清音)とその臨床的意味 ・便秘の定義、原因、合併症、アセスメント項目(問診、視診、触診、聴診を含む) ・急性腹症の徴候と症状(筋性防御、反跳痛、叩打痛など)