Aさん(76歳、女性)は、ステージ2の慢性腎臓病と診断された。身長146 cm、体重50 kg。日常生活は自立し、毎日家事をしている。週2回、ビールをグラス1杯程度飲んでいる。Aさんへの生活指導の内容で優先されるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第108回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
慢性腎臓病(CKD)のステージ2では、腎機能の低下が始まっていますが、自覚症状はほとんどありません。この段階からの生活指導は、病気の進行を遅らせ、合併症の発症を予防するために非常に重要です。特に、高血圧はCKDの最も重要な増悪因子の一つであり、その管理が病状安定の鍵となります。減塩は高血圧の予防と治療の基本であり、腎臓への負担を軽減し、腎機能低下の進行を抑制するために優先されるべき指導内容です。他の選択肢は、Aさんの現状やCKDの病態を考慮すると、優先順位が低いか、適切ではありません。
選択肢ごとの解説
- 1. 慢性腎臓病ステージ2の患者の場合、過度な安静は推奨されません。日常生活動作の維持や適度な運動がむしろ推奨されることが多いです。活動制限が必要になるのは、病状がさらに進行した場合や、合併症がある場合です。正しくは:活動の維持や適度な運動を促す選びやすい理由:腎機能の悪化を防ぐために休息が必要だと誤解するかもしれない。混同注意:急性期の腎障害や末期の腎不全と混同し、活動制限が必要だと考える可能性がある。
- 2. Aさんの飲酒量は「週2回、ビールをグラス1杯程度」と軽度であり、慢性腎臓病ステージ2において直ちに禁酒を優先すべき強い根拠にはなりません。腎機能への影響は飲酒量に依存しますが、この程度の量であれば他の指導が優先されます。禁酒の必要性があるのは、飲酒量が多い場合や、高血圧、脂質異常症などの合併症がある場合です。正しくは:過度な飲酒を控えるよう指導する選びやすい理由:健康管理全般においてアルコール制限は良いことだと考え、禁酒を優先してしまうかもしれない。混同注意:飲酒が腎臓に負担をかけるという一般的な知識から、量に関わらず禁酒が最優先だと誤解する可能性がある。
- 3. 正解。慢性腎臓病の進行を抑制するためには、血圧管理が極めて重要であり、減塩は高血圧予防・改善の基本です。腎臓病ではナトリウムの排泄能力が低下しやすいため、塩分摂取量が多いと体液量が増加し、血圧上昇や浮腫を引き起こし、腎臓への負担が増大します。ステージ2の段階から減塩指導を優先することは、病状の悪化を防ぐ上で非常に効果的です。正しくは:適切選びやすい理由:他の選択肢も健康管理として重要に見えるため、減塩の優先順位を見誤るかもしれない。混同注意:慢性腎臓病の食事療法には、タンパク質制限など他の要素も含まれるため、減塩の重要性を見落とす可能性がある。
- 4. Aさんの身長146cm、体重50kgからBMIを算出すると、50kg / (1.46m)^2 ≒ 23.4kg/m^2となり、標準体重の範囲内(一般的に18.5~24.9kg/m^2)です。そのため、現時点での体重減量は優先されるべき指導内容ではありません。肥満がある場合には減量が推奨されますが、Aさんの場合は該当しません。正しくは:適切な体重の維持を指導する選びやすい理由:肥満が生活習慣病や腎臓病に悪影響を与えるという一般的な知識から、体重減量を優先してしまうかもしれない。混同注意:肥満症の患者に対する指導と混同し、Aさんの現在の体重が標準範囲内であることを考慮しない可能性がある。
国試ポイント
慢性腎臓病の病期に応じた生活指導の優先順位と、高血圧管理の重要性を理解しているか。患者の具体的な身体データ(身長、体重、飲酒量など)に基づいて、個別の介入の必要性を判断する能力が問われています。
混同注意
慢性腎臓病の指導には、タンパク質制限、カリウム制限、飲酒制限、運動療法など多岐にわたるため、その中で何が最も優先されるべきかを見極めることが難しい場合があります。特に、患者の現状(BMI、飲酒量など)を正確に評価しないと、不要な指導を選択してしまう可能性があります。
次に同じ論点が出たら
この患者がステージ3以降に進行した場合、どのような指導が追加で必要になるか(例:タンパク質制限の強化、カリウム・リンの管理など)を考える。
関連知識
慢性腎臓病(CKD)のステージ分類とそれぞれの病期の特徴。CKDにおける食事療法の基本原則(減塩、適切なタンパク質摂取、カリウム・リン管理)。高血圧と腎臓病の関連性。BMIの計算と判定基準。