同種造血幹細胞移植の前に行われる全身放射線照射の目的はどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第114回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・4番
解説
全身放射線照射(TBI)は、同種造血幹細胞移植の前処置として行われ、主に2つの重要な目的があります。1つは、レシピエントの免疫系を完全に破壊することで、移植されるドナーの幹細胞に対する拒絶反応を阻止することです。もう1つは、白血病などの悪性疾患において、体内に残存する可能性のある癌細胞を徹底的に排除し、再発を防ぐことです。
選択肢ごとの解説
- 1. 全身放射線照射は患者の免疫力を極度に低下させるため、感染リスクを大幅に増加させます。予防目的ではありません。正しくは:骨髄破壊性前処置の結果として起こる免疫抑制が、感染リスクを高める原因となる。選びやすい理由:免疫抑制療法が感染予防と結びつきやすいという誤解。混同注意:移植後の免疫抑制状態と感染予防対策を混同している可能性がある。感染予防は照射後に厳重に行われる処置であり、照射の目的そのものではない。
- 2. 正解。全身放射線照射は、患者自身の免疫細胞を破壊することで、移植される同種幹細胞への拒絶反応を防ぐための必須の前処置です。
- 3. 全身放射線照射は、抗がん剤そのものを活性化させる効果はありません。放射線と抗がん剤はそれぞれ独立した治療法として作用します。正しくは:むしろ、全身放射線照射と抗癌薬は相乗効果で癌細胞を根絶する目的で併用されることがある。選びやすい理由:放射線治療と化学療法が併用されることが多いことから、放射線が抗癌薬を活性化すると誤解する。混同注意:放射線と化学療法の相乗効果や、特定の薬剤が放射線増感作用を持つことと混同する可能性。
- 4. 正解。全身放射線照射は、患者体内に残存している可能性のある悪性腫瘍細胞を強力に破壊し、疾患の根治を目指すための重要な手段です。
- 5. 移植片対宿主病(GVHD)は、移植されたドナーの免疫細胞が患者の体を異物と認識して攻撃することで発生します。全身放射線照射は患者の免疫力を抑制する目的ですが、GVHD自体を直接予防する目的ではありません。むしろ、前処置後の免疫抑制状態はGVHDの発症リスクに影響を与える可能性があります。GVHDの予防は、主に免疫抑制剤の使用やドナーリンパ球の調整によって行われます。正しくは:全身放射線照射はGVHDの直接的な予防策ではない。GVHDはドナー由来のT細胞が原因であるため、GVHD予防は主に移植後の免疫抑制剤投与やドナーリンパ球の除去などによって行われる。選びやすい理由:拒絶反応の防止とGVHDの予防が混同しやすい。どちらも免疫反応に関連するため。混同注意:拒絶反応とGVHDが対立する概念であると誤解している可能性。両者は異なるメカニズムで生じる。
国試ポイント
同種造血幹細胞移植における前処置の目的は、国家試験で頻出の重要事項です。特に「拒絶反応の防止」と「腫瘍細胞の根絶」の2点が重要目的として問われることが多いです。前処置の具体的な内容(全身放射線照射、大量化学療法)と、それによって生じる副作用(骨髄抑制、感染リスク増加、GVHDのリスクなど)も合わせて理解しておく必要があります。
混同注意
拒絶反応の防止と移植片対宿主病(GVHD)の予防を混同しやすいです。全身放射線照射はレシピエントの免疫系を破壊することで「拒絶反応」を防ぎますが、ドナーのT細胞がレシピエントを攻撃する「GVHD」を直接予防するものではありません。また、感染の予防が放射線照射の目的であると誤解しやすいですが、むしろ照射により免疫力が低下し、感染リスクが増大します。
次に同じ論点が出たら
同種造血幹細胞移植の前処置の種類(放射線照射、化学療法)とその効果、各前処置がもたらす副作用とその看護。また、移植後の合併症(GVHD、感染症、口腔粘膜炎など)の種類と対処法についても問われる可能性が高いです。
関連知識
同種造血幹細胞移植の適応疾患(白血病、再生不良性貧血など)、移植のタイプ(骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍帯血移植)、移植前処置の内容(全身放射線照射、大量化学療法)、移植後の合併症(GVHD、感染症、骨髄機能不全、臓器障害など)、看護のポイント(感染予防、出血予防、栄養管理、精神的ケア)など。