Aさん(53歳、女性)は休日に公園を散歩中、階段から落ちて頭部を強打し、意識を消失した状態で病院に救急搬送された。病院到着時のAさんは開眼せず、声は発しているが理解不能である。痛み刺激には逃れようとする動作がみられる。 開頭手術後2日、Aさんの全身状態は良好で、硬膜外ドレーンの排液も異常所見はなく経過している。看護師が訪室するとAさんは仰臥位で開眼し、「目が覚めたら病院にいて手術も終えていたので驚きました。今は気分もよいが、寝てばかりで背中が痛くなってきたので体勢を変えたい」と話す。看護師の対応で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
開頭術後、脳圧管理のためには頭部を30度挙上することが推奨されています。この体位は、脳還流を適切に保ちつつ脳圧上昇を抑制する効果があります。Aさんは全身状態が良好で、排液も異常なく、背中の苦痛を訴えているため、安楽の確保と合併症予防の両面から頭部30度挙上が適切な対応です。
選択肢ごとの解説
- 1. 開頭術後の体位は脳圧管理の重要な要素ですが、Aさんは背部の苦痛を訴えており、全身状態も良好なため、安楽を考慮し体位変換を検討する時期です。常に仰臥位を保持する必要はありません。正しくは:患者の訴えを聞き入れ、適切な体位調整を検討する。選びやすい理由:術後早期であるため体位固定を優先しがちですが、患者の状態と訴えを総合的に判断することが重要です。混同注意:術後早期の合併症予防と体位の関連性を意識しすぎると、安楽の側面を見落としがちになります。
- 2. 正解。開頭術後の患者にとって、頭部挙上30度は脳圧上昇を予防し、脳還流を適切に保つ上で推奨される体位です。排液の異常もなく全身状態が良好であれば、安楽のためにもこの体位への変更が適切です。選びやすい理由:頭側挙上は脳圧コントロールに有効ですが、挙上角度の選択が重要です。混同注意:頭部挙上の目的(脳圧降下、脳還流維持)と適切な角度を混同しやすいです。
- 3. 頭側60度挙上は、頭部挙上30度と比較して脳還流圧が低下するリスクが高く、術後早期には慎重な判断が必要です。Aさんの全身状態が良好であっても、過度な頭部挙上は避けるべきです。正しくは:脳圧管理と脳還流への影響を考慮し、より緩やかな挙上(30度)から試みる。選びやすい理由:より高く起こした方が安楽と感じるかもしれませんが、脳圧管理の観点からは高すぎる可能性があります。混同注意:脳圧を下げるためには高く起こすほど良いと考えてしまいがちですが、過度な挙上は別の問題を引き起こす可能性があります。
- 4. 頭側90度挙上は、いわゆる端座位に近く、術後早期の患者には脳還流圧の著しい低下や体位性低血圧のリスクが非常に高い体位です。Aさんの状態から判断して、この体位は適切ではありません。正しくは:術後早期の患者には、体位性低血圧や脳還流障害のリスクを考慮し、より緩やかな頭部挙上を行う。選びやすい理由:完全に座らせてあげたいという思いから、この選択肢を選びたくなるかもしれませんが、医学的リスクが大きすぎます。混同注意:患者の希望を最優先するあまり、術後の生理学的リスクを見落としがちです。
国試ポイント
開頭術後の脳圧管理と適切な体位、患者の訴えへの対応を問う問題です。術後の合併症予防と患者の安楽を両立させる看護判断が重要となります。
混同注意
開頭術後の体位の選択は、脳圧や脳還流、患者の意識レベル、呼吸状態など様々な要因によって異なります。特に頭部挙上角度は、脳圧を下げることだけを考えると高くしたくなるかもしれませんが、脳還流への影響も考慮する必要があります。
次に同じ論点が出たら
Aさんの体位変更後も、意識レベルの変化、頭痛の増悪、ドレーン排液の変化、バイタルサインの変動がないか継続的に観察し、必要に応じて医師に報告する。
関連知識
開頭術後の看護では、意識レベルの観察、瞳孔所見、バイタルサイン、ドレーン排液の性状と量、頭痛や悪心・嘔吐の有無など、様々な項目を継続的に観察することが重要です。また、誤嚥性肺炎予防のための体位や、深部静脈血栓症予防のための早期離床も考慮されます。