Aさん(75歳、男性)。1人暮らし。慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉のため、2年前から在宅酸素療法を開始し、週に2回の訪問看護を利用している。訪問看護師はAさんから「最近、洗濯物を干すときに息が苦しくて疲れるが、自分でできることは続けたい」と相談された。Aさんの労作時の息苦しさを緩和する方法について、訪問看護師が行う指導で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第107回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
腕を上げる動作は、胸郭を圧迫し呼吸筋に負担をかけるため、息を吐きながら行うことで、呼吸筋の過剰な収縮を防ぎ、呼気を促進して呼吸困難感を緩和することができます。これはCOPD患者の労作時呼吸困難を軽減する呼吸法指導の基本です。
選択肢ごとの解説
- 1. 在宅酸素療法中の労作時における酸素流量の変更は、医師の指示なく訪問看護師が独断で行うべきではありません。労作時低酸素血症の有無や程度を評価した上で、医師が判断すべき事項です。正しくは:医師に相談し、必要に応じて労作時低酸素血症の評価に基づき酸素流量の増量や追加酸素の検討を提案する。選びやすい理由:息苦しいなら酸素を増やせば楽になるという短絡的な思考から選びやすいです。また、労作時のみ酸素流量を増やすケースも実際に存在するため、判断に迷いやすいです。混同注意:自己判断での酸素流量調整の危険性と、医師の管理下での適切な酸素療法管理。
- 2. COPD患者は、呼気時間の延長により気道が閉塞しやすいため、呼気を長くすることで肺内の空気の貯留を防ぎ、呼吸仕事量を軽減することが重要です。吸気より呼気を短くする(吸気を長くする)のは誤りです。正しくは:呼吸は吸気より呼気を長くする。選びやすい理由:深い呼吸が良いという漠然としたイメージから、吸気を長くする方が良いと誤解しやすいです。しかし、COPDでは特に呼気延長が重要です。混同注意:一般的なリラックス呼吸法(吸気延長)と、COPD患者における呼気延長の必要性。
- 3. 短速呼吸は、呼吸回数を増やすことで一回換気量を減少させ、換気効率を低下させ、さらに呼吸筋疲労を増悪させる可能性があります。COPD患者においては、ゆっくりと深い呼吸が推奨されます。正しくは:動作に合わせてゆっくりと深い呼吸をする。選びやすい理由:息苦しいと無意識に呼吸が速くなるため、その状態を正常と捉えてしまいがちです。また、運動中の呼吸は速いものというイメージから選びやすいです。混同注意:正常な運動時の呼吸パターンと、COPD患者の呼吸困難を軽減するための呼吸法。
- 4. 正解。腕を上げる動作は、胸郭を圧迫し呼吸筋に負担をかけるため、息を吐きながら行うことで、呼吸筋の過剰な収縮を防ぎ、呼気を促進して呼吸困難感を緩和することができます。これは労作時呼吸困難を軽減するための呼吸同調の原則です。選びやすい理由:労作時に息を吐くという原則を知っていると迷わず選べます。具体的な動作と呼吸のタイミングが一致しており、COPD患者への指導として適切です。混同注意:吸気と呼気のタイミングを意識しない一般的な動作と、呼吸困難を伴う患者への特別な指導。
国試ポイント
COPD患者の労作時呼吸困難に対する呼吸リハビリテーション指導の基本を理解すること。特に、動作と呼吸のタイミング(同期)を合わせた指導が重要です。
混同注意
COPD患者の呼吸法と、一般的な運動時の呼吸法を混同しやすいです。COPDでは呼気延長や口すぼめ呼吸など、呼気を意識した呼吸が強調されます。
次に同じ論点が出たら
COPD患者の労作時呼吸困難に関する問題では、動作と呼吸のタイミング(特に呼気を意識した動作)や、口すぼめ呼吸、腹式呼吸といった呼吸法が適切に指導されているかを確認します。
関連知識
COPD患者の呼吸リハビリテーションには、口すぼめ呼吸、腹式呼吸、体位変換(起座位、前傾姿勢)、運動時の呼吸同調(労作時に息を吐く)などが含まれます。また、栄養管理や薬物療法(気管支拡張薬など)も重要です。