Aさん(80歳、男性)は、20年前に大腸癌でストーマを造設し、現在週1回の訪問看護を利用している。訪問看護師は、訪問時にAさんから「2日前から腹痛がある」と相談を受けた。Aさんのバイタルサインは、体温36.4℃、呼吸数24/分、脈拍84/分、血圧138/60 mmHgである。訪問看護師がAさんの腹痛をアセスメントするための情報で最も優先度が高いのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第107回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
ストーマ保有者の腹痛では、腸閉塞の可能性を考慮することが非常に重要です。腸閉塞の場合、ストーマからの排泄が停止または減少するため、排便の有無(ストーマからの排泄状況)は最も緊急性が高く、優先的に確認すべき情報です。排便の有無を確認することで、腸閉塞の可能性を早期に判断し、適切な対応につなげることができます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。ストーマ保有者の腹痛で最も警戒すべき合併症の一つに腸閉塞があります。排便の有無やストーマからの排泄状況は、腸閉塞を早期に発見するための重要な情報であり、緊急性が高いため最優先で確認すべきです。正しくは:ストーマからの排泄の有無と性状選びやすい理由:腹痛の原因として排便異常は一般的に考えられるため、すぐに思いつきやすい。混同注意:他の選択肢も腹痛と関連する情報であるため、どれが最も緊急性が高いか判断に迷うことがある。
- 2. 身体活動量の変化は腹痛の間接的な要因になる可能性はありますが、直接的かつ緊急性の高い情報ではありません。腸閉塞などの重篤な状態と比較すると優先度は低いです。正しくは:消化器症状と関連する具体的な活動(例: 食事や運動後の痛み)選びやすい理由:活動量の減少が全身状態の悪化を示す指標になる。混同注意:活動量の変化は全体的な健康状態を把握する上で重要だが、腹痛の緊急アセスメントでは劣後する。
- 3. 食物の摂取状況は腹痛の原因となる可能性(例:特定の食品による消化不良、食事量の減少による便秘など)がありますが、腸閉塞のような緊急性の高い病態を直接的に示唆するものではありません。排便の有無と比較すると優先度は低いです。正しくは:摂取した食物の種類、量、およびそれによる腹痛の増悪・軽減の有無選びやすい理由:食事内容や量が消化器症状に影響を与えることはよくある。混同注意:食べ物の種類によっては、ストーマの閉塞を引き起こすリスクがあるため、重要な情報であると感じやすい。
- 4. ストーマ周囲の皮膚状態はストーマケアにおける重要なアセスメント項目ですが、腹痛の直接的な原因として緊急性が高いものではありません。皮膚トラブルが腹痛を引き起こすことは稀であり、腸閉塞の兆候とは直接関係がありません。正しくは:ストーマからの排泄物の皮膚への漏れ、皮膚炎の有無と程度選びやすい理由:ストーマ保有者にとって皮膚トラブルは一般的な問題であるため、確認したくなる。混同注意:ストーマケア全体の一部として、確認する項目ではあるが、腹痛の緊急アセスメントにおいては最優先ではない。
国試ポイント
ストーマ保有者の腹痛に対する初期アセスメントにおける優先順位。特に、緊急性の高い合併症である腸閉塞の兆候を見極める能力が問われる。
混同注意
他の選択肢もアセスメントに必要な情報ではあるが、緊急性において「排便の有無」が最も高い点を理解しておく必要がある。特に食物摂取状況は腸閉塞の原因となり得るため、誤って選択しやすい。
次に同じ論点が出たら
排便がない、または著しく減少している場合、緊急で医療機関への連絡や受診を検討する。同時に、腹部膨満の有無、悪心・嘔吐の有無、腹部の圧痛部位や程度などをさらに詳細にアセスメントする。
関連知識
ストーマ合併症(腸閉塞、脱水、ストーマ周囲皮膚炎など)、腸閉塞の症状(腹痛、嘔気、嘔吐、腹部膨満、排便・排ガス停止)、バイタルサインの解釈、訪問看護における緊急時対応。