Aさん(40歳、男性、会社員)は、うつ病と診断されていた。最近、仕事がうまくいかず、大きなミスを起こし、会社に損失を与えたことから自分を責め不眠となり、体重が減少した。ある朝、リビングの床で寝ているAさんを妻が発見し、大きな声で呼びかけたところ、Aさんは1度目を開けたが、すぐ目を閉じてしまった。ごみ箱に、からになった薬の袋が大量に捨ててあり、机には遺書があった。救急搬送後、意識が清明となり、身体的問題がないため精神科病院に入院となった。 入院後3か月、Aさんは退院予定となり、元の職場に戻るための準備をすることになった。Aさんは「すぐに仕事に戻るのではなく、規則正しく生活することなどから、段階的に取り組むほうがいいのではないか」と訴えていた。Aさんの職場復帰を含めた退院後の生活を支援するために適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第108回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
精神科デイケアは、精神科リハビリテーションの一環として行われ、社会生活機能の回復や社会復帰、職場復帰を目指す支援です。規則的な生活リズムの確立、対人技能の向上、ストレス対処スキルの習得など、段階的な社会参加を促すプログラムが提供されます。Aさんが希望する「規則正しく生活することから段階的に取り組む」という意向に最も合致し、元の職場への復帰準備にも適しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 自立訓練は、地域で自立した日常生活または社会生活を営むことができるよう、生活能力の向上のために必要な訓練を行うものです。Aさんの場合は、生活リズムの調整に加え、職場復帰という明確な目標があるため、より目的に合致した支援が適切です。正しくは:Aさんの場合は、生活リズムの調整に加え、職場復帰という明確な目標があるため、より目的に合致した支援が適切です。選びやすい理由:生活リズムの再構築という側面では関連性があるように見えるかもしれません。混同注意:自立訓練は、主に身体機能や生活能力の維持・向上に主眼を置くサービスであり、精神疾患からの職場復帰支援とは目的が異なります。
- 2. 就労移行支援は、一般企業等への就労を希望する方に対し、就労に必要な知識及び能力の向上のための訓練や、求職活動に関する支援、職場定着のための支援を行うものです。Aさんは「元の職場に戻る」ことが前提であり、新しい職場への就労を目的とする就労移行支援とは異なります。正しくは:Aさんは「元の職場に戻る」ことが前提であり、新しい職場への就労を目的とする就労移行支援とは異なります。選びやすい理由:職場復帰支援という言葉から、就労に関連する支援を連想しやすいですが、具体的な支援内容が異なります。混同注意:元の職場への復帰を支援するのか、新しい職場への就労を支援するのかで選択肢が変わります。
- 3. 就労継続支援は、一般企業等での就労が困難な方に対して、働く機会を提供するとともに、知識及び能力の向上のために必要な訓練を行うものです。Aさんは「元の職場に戻る」ことを目指しており、一般企業での就労が困難な状況にあるわけではありません。また、段階的な生活リズムの調整を希望しています。正しくは:Aさんは「元の職場に戻る」ことを目指しており、一般企業での就労が困難な状況にあるわけではありません。また、段階的な生活リズムの調整を希望しています。選びやすい理由:仕事への復帰を「支援」するという点で関連があるように見えますが、対象者と目的が異なります。混同注意:就労継続支援は、一般就労が難しい方向けの支援であり、元の職場への復帰を目指すAさんには適していません。
- 4. 正解。精神科デイケアは、精神疾患を抱える方が社会生活機能の回復を図り、社会復帰を目指すためのプログラムを提供する施設です。規則正しい生活習慣の確立、対人関係の改善、ストレス対処法の習得など、職場復帰に向けた準備やリハビリテーションを行うのに適しています。Aさんの「規則正しく生活することなどから、段階的に取り組む」という意向にも合致します。正しくは:精神科デイケアは、精神疾患を抱える方が社会生活機能の回復を図り、社会復帰を目指すためのプログラムを提供する施設です。規則正しい生活習慣の確立、対人関係の改善、ストレス対処法の習得など、職場復帰に向けた準備やリハビリテーションを行うのに適しています。選びやすい理由:デイケアは「日中の活動」というイメージが強く、職場復帰と直接結びつかないと考える人もいるかもしれません。混同注意:精神科デイケアは単なる日中活動の場ではなく、社会復帰や職場復帰に向けたリハビリテーション機能を持つことを理解しておく必要があります。
国試ポイント
精神疾患患者の退院後の生活支援、特に職場復帰に向けた社会資源と支援内容に関する知識が問われています。それぞれの支援サービスがどのような対象者に対してどのような目的で提供されるのかを正確に理解しておくことが重要です。
混同注意
自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、精神科デイケアは、それぞれ目的と対象者が異なります。特に「就労」という言葉が含まれるサービスと精神科デイケアの区別が重要です。Aさんが「元の職場に戻る」ことを希望している点、および「段階的な生活リズムの調整」を求めている点が、正解を導くための鍵となります。
次に同じ論点が出たら
Aさんの具体的な症状や、職場での業務内容、職場のサポート体制なども考慮し、精神科デイケアでのプログラム内容を検討する必要があります。また、職場との連携も重要になります。
関連知識
精神科デイケアの他に、精神科ナイトケア、精神科ショートケア、精神科訪問看護、地域活動支援センターなどの精神科リハビリテーションサービスがあります。それぞれのサービスの特徴と利用目的を把握しておくことが、適切な支援を選択するために必要です。